能古港(福岡市)に停泊中のフラワーのこ ※写真と本文は無関係です |
日経には以下の内容で問い合わせを送った。
【日経への問い合わせ】
13日の日本経済新聞朝刊 総合・政治面に載った「出生86万 逆転への道(上) 子供産みたくない社会に未来なし」という社説についてお尋ねします。問題としたいのは「少子化を克服した国はもっと先をゆく。フィンランドなどは、ベビーカーを押しながら運賃を片手で払うのは危ないという配慮からベビーカー連れの乗客を無料にしている」との記述です。
社説を信じれば「フィンランド」は「少子化を克服した国」のはずです。2019年10月19日付の「最高レベルの子育て政策も無駄? 急減するフィンランドの出生率」というフォーブス ジャパンの記事では以下のように記しています。
「(日本と)同じように出生率の急激な低下に頭を悩ませている国がある。北欧のフィンランドだ。国連の幸福度ランキングで2年連続トップを維持している国だが、これまでも高福祉の国として子育て政策には力を入れてきた。しかし、2002年から2010年まで順調に伸ばしていた出生数も、その後、急減している。フィンランドの大手メディア、ヘルシンギン・サノマットは『少子化が進みすぎて、近々人間の出生数よりも子犬の出生数が上回るだろう』と予測している」
他のメディアなどの情報によると、「フィンランド」の合計特殊出生率は1.42の日本と同水準まで低下しているようです。本当に「フィンランド」は「少子化を克服した国」と言えますか。
「少子化を克服した」かどうかに明確な基準はないとしても、日本を「少子化を克服できていない国」と捉えている以上、出生率が日本と同水準の国を「少子化を克服した国」と見なすのは無理があります。
「フィンランド」を「少子化を克服した国」とした社説の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
付け加えると、社説の内容には偏見を感じました。まず、最初の段落です。
「少子化が猛スピードで進んでいる。2019年に生まれた日本人の赤ちゃんは86万4千人と、一気に90万人を大きく割り込んだ。この流れを逆転させて人口小国の汚名をすすぐために、少子化対策を総動員するときだ」
「人口小国」は「汚名」なのですか。「人口」が少ないことは恥ずべきなのですか。日本は世界11位の「人口」を有するので、それを「人口小国」とすれば、ほとんどの国が「人口小国」になってしまいます。「人口小国」を「汚名」とするのは、他国への配慮に欠けるとは思いませんか。
「人口」が少なくても、国民が豊かに幸せに暮らしていれば、それで良いのではありませんか。色々な考え方があるのは分かりますが、日本を「人口小国」と見なして「汚名をすすぐ」べきだと訴えるのは、かなり偏った見方だと感じました。
次に「女性活躍の流れは推し進めるべきだが、同時に家庭内での育児や家事を女性が一手に担わされている」との記述です。これは事実関係としても間違っています。男女共同参画白書(平成30年版)によると「平成28年における6歳未満の子供を持つ夫の家事・育児関連に費やす時間(1日当たり)は83分」です。「0分」ではありません。
「家庭内での育児や家事」を男性も担っているのは常識的にも明らかです。なのになぜ「家庭内での育児や家事を女性が一手に担わされている」と言い切ったのですか。「家庭内での育児や家事を女性の方が多く担っている」などとすべきでしょう。
今回の社説は最後に「女性が子どもを産めない社会に未来はない」と訴えています。それはそうでしょうが、日本は「女性が子どもを産める社会」です。「2019年に生まれた日本人の赤ちゃんは86万4千人」と社説でも書いています。「女性が子どもを産めない社会」で「86万4千人」もの「赤ちゃん」が生まれてくるでしょうか。
社説の筆者が日本を「女性が子どもを産めない社会」と見ているのならば明らかな誤解です。そうした点も考慮して今後の紙面を作ってください。
問い合わせは以上です。「フィンランド」に関しては回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界最強のビジネスメディア」であろうとする新聞社として責任ある行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた社説「出生86万 逆転への道(上) 子供産みたくない社会に未来なし」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200113&ng=DGKKZO54103190X00C20A1PE8000
※社説の評価はE(大いに問題あり)
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