門司港駅(北九州市)※写真と本文は無関係です |
経済記事の書き手ならば「価格を値上げ(値下げ)」は禁じ手との認識を持ってほしい。違和感を抱く読者がわずかだとしてもだ。「価格を値上げ」は単に「値上げ」とすれば文字数も少なくできる。それで読者に違和感を覚えさせずに済むのだから、わざわざダブり感を出す理由はない。
4日の日本経済新聞朝刊企業面に載った「リンガーハット3%値上げ 野菜高騰」という記事では、2回も「価格を値上げ」が出てくる。日経には以下の内容で問い合わせを送った。
【日経の記事】
4日の朝刊企業面に載った「リンガーハット3%値上げ 野菜高騰」という記事についてお尋ねします。
記事中には「リンガーハットは3日、ちゃんぽんや皿うどんの価格を10日から約3%値上げすると発表した」「松屋フーズは4月、『牛めし』並盛りの価格を1割値上げした」との記述があります。
「値上げ」とは「物の値段や料金を高くすること」(デジタル大辞泉)という意味です。「値」の文字からも分かるように「価格」の要素が入った言葉です。
「価格を10日から約3%値上げ」「価格を1割値上げ」とするのは重複表現に当たり不適切ではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界トップレベルのクオリティーを持つメディア」であろうとする新聞社として、責任ある行動を心掛けてください。
ちなみに、朝日新聞と産経新聞の記事では「価格を値上げ」とはしていませんでした。両紙は以下のように表現しています。
「長崎ちゃんぽんを手がけるリンガーハット(東京)は3日、『長崎ちゃんぽん』など主力商品を10日から平均3・3%値上げすると発表した」(朝日)
「リンガーハットは3日、長崎ちゃんぽん店『リンガーハット』の主なメニューを10日から平均3・3%値上げすると発表した」(産経)
付け加えると御紙の「米クラフト・ハインツ、35%減益 北米で販売低調 4~6月期」という記事(8月4日付)にも「一部の商品価格を1.3%値上げしたが補えなかった」との表現が出てきます。「価格を値上げ(値下げ)」は重複表現なので好ましくないという認識が、編集局全体で欠けている可能性は高そうです。「世界トップレベルのクオリティー」を目指すのならば、全社的な見直しが必要でしょう。
◇ ◇ ◇
追記)結局、回答はなかった。
※今回取り上げた記事「リンガーハット3%値上げ 野菜高騰」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180804&ng=DGKKZO33782710T00C18A8TJC000
※記事の評価はD(問題あり)。
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