シグマパワー有明 三川発電所(福岡県大牟田市) ※写真と本文は無関係です |
【日経BP社への問い合わせ】
日経ビジネス編集部 宇賀神宰司様 藤村広平様 浅松和海様 杉原淳一様
1月22日号の特集「『おもてなし』のウソ」の中の「PART 4~稼げるサービスは現場力が生み出す 日本は低生産性から脱却なるか」という記事についてお尋ねします。記事では「先進国中で最下位──。各種の統計が示すように、日本の産業全体の生産性は極めて低いと指摘されている」と記しています。
「日本の労働生産性は主要7カ国で最下位が続く」とのタイトルが付いたグラフでは、日本生産性本部のデータを基に「就業者1人当たりの労働生産性」の順位を示しています。そこで、このデータから「先進国中で最下位」かどうかを考えてみます。
日本生産性本部の資料によると、OECD加盟35カ国の中で日本は「就業者1人当たりの労働生産性」で21位です。「先進国」に明確な定義はありませんが、「OECD加盟国=先進国」とすれば、日本の下に14カ国もいます。
内閣府がまとめた「世界経済の潮流2014」では先進国を「チリ、トルコ、メキシコを除くOECD加盟国」としています。この定義に従ってみても、生産性で日本を下回る先進国が11カ国あります。日本より下位のニュージーランドは、常識的に言っても明らかな先進国です。
「日本の産業全体の生産性」を「先進国中で最下位」としたのは誤りではありませんか。正しいとすれば、その根拠も併せて教えてください。先進国の定義をかなり強引に設定しないと「最下位」にはならないはずです。またOECD加盟35カ国中21位の生産性を「極めて低い」と捉えるのも、やや無理があります。
付け加えると、グラフでは日本の順位が2016年で21位となっていますが、母集団を示していません。「世界全体で21位」「先進25カ国で21位」とも見えます。OECD加盟35カ国中の21位だと分かる作りにすべきでしょう。
問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが、よろしくお願いします。
◇ ◇ ◇
22日(月)に問い合わせを送ったものの、24日までには回答がなかった。回答が届けば、その内容を紹介したい。
日本の労働生産性については、他のメディアも含めて低さを強調する記事が目立つ。しかしOECD加盟35カ国中21位であれば「加盟国の中ではどちらかと言えば低い」といったレベルだ。非加盟国の労働生産性が低いとすれば、世界全体で見た場合「日本の労働生産性は高い」との見方も成り立つだろう。
労働生産性の低さを強調したいためにデータをご都合主義的に扱うのが絶対にダメだとは言わない。ただ、限度はある。「先進国中で最下位」は誤りだと思えるし「日本の産業全体の生産性は極めて低いと指摘されている」との説明もかなり苦しい。
※今回取り上げた記事「PART 4~稼げるサービスは現場力が生み出す 日本は低生産性から脱却なるか」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/011600897/?ST=pc
※記事の評価はD(問題あり)。
※追記)投稿後に日経BP社から以下の回答があった。
【日経BP社の回答】
いつもご愛読ありがとうございます。ご質問に回答させて頂きます。
ご指摘の通り、先進国には明確な定義がありません。そうしたなかで「OECD加盟国=先進国」というのも、一つの定義かと存じます。
グラフのタイトルで明示したように、日本の生産性は主要7カ国で最下位で、冒頭リード文で「主要先進国で最下位」と記しましたが、本文中では読者の混乱を招きかねない表現になっていたこと、頂戴したご指摘を踏まえ、今後の編集作業の参考とさせて頂きます。
よろしくお願い申し上げます。
◇ ◇ ◇
回答はこれでよいと思える。
0 件のコメント:
コメントを投稿