つづら棚田(福岡県うきは市)※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
企業が稼ぐ力を高めた理由は3つある。一つは金融危機後に事業の選択と集中を加速したことだ。
ソニーは世界首位の半導体センサーで競合他社の突き放しに動く。来年3月までに長崎工場などの工程を工夫するなどして生産能力を1割増やす。その後も1~2割の増産を検討する。画質の良さからスマートフォン(スマホ)や監視カメラなどで引き合いが強く、販売数量の拡大が続く。
半導体は20年ぶり営業最高益のけん引役。今期の部門利益率は17%に上る。スマホやテレビなど競争の激しい分野で量を追わない一方、半導体やゲームなど得意分野に集中する戦略に転換したのが奏功する。金融危機後の10年間の累積最終赤字は約4700億円に縮小し、復調してきた。
◎これで「選択と集中を加速」?
記事ではソニーを「事業の選択と集中を加速した」代表例として取り上げている。しかし、「スマホやテレビ」は撤退ではなく「量を追わない」だけのようだ。これだけでも「選択と集中」が徹底していないと思える。
須賀神社の土俵(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です |
では「半導体やゲームなど得意分野に集中する戦略」とは言えるのだろうか。2017年7~9月期の連結業績を見ると、「半導体」と「ゲーム&ネットワークサービス」の売上高を合計してもソニー全体の3割強に過ぎない。両部門の営業利益の合計は1042億円で、やはり全体の約半分に相当する水準。これで「半導体やゲームなど得意分野に集中する戦略」だとは考えにくい。
ソニーは「ホームエンタテインメント&サウンド」「音楽」「金融」などでもしっかり稼いでいる。これらも「半導体やゲームなど得意分野」の「など」に入っていると言いたいのだろうか。だとしたら「得意分野」がかなり多いし、「集中」している感じもない。
※今回取り上げた記事「最高益の実相(上)経常利益率7%の壁破る ソニー、得意分野に集中」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171124&ng=DGKKZO23845900U7A121C1MM8000
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