2017年1月15日日曜日

「アジア最大の多民族国家はインドネシア」と誤解した日経

アジア最大の多民族国家」と聞くと、すぐに中国が頭に浮かぶ。しかし、日本経済新聞は違うようだ。15日の朝刊1面に載った「アジアひと未来~次世代を導く(2)最高峰レース参戦 目標はシューマッハ F1ドライバー リオ・ハリアント 寛容と融和、英雄に共鳴」という記事では、インドネシアを「アジア最大の多民族国家」と呼んでいた。
福岡県朝倉市側から見た筑後川 ※写真と本文は無関係です

記事の当該部分と日経への問い合わせは以下の通り。

【日経の記事】

それでも平均年齢が28歳の同国はすでに国民の5人に2人が「スハルト以後」に育った。「肌の色や出自で人をみるのはおかしい」。きっぱりと言うリオに、同世代のプリブミからも「彼が華人だなんて気にしない」(ジャカルタ在住の会社員、リスマワティ=25)と呼応する声が上がる。

世界へ羽ばたく英雄に若者は「自分世代の代弁者」と共鳴する。未来への希望が過去の確執を乗り越える姿は、新興国の雄として主要20カ国・地域(G20)に名を連ね、国際社会で存在感を増す国自身に重なる。ただ経済成長が鈍って内向き志向が強まれば、芽吹いた寛容がまた憎悪に上塗りされる危うさもはらむ。アジア最大の多民族国家の国内融和はこれからが正念場だ


【日経への問い合わせ】

15日の朝刊に載った「アジアひと未来~次世代を導く(2)」という記事についてお尋ねします。記事の結びでインドネシアについて「アジア最大の多民族国家の国内融和はこれからが正念場だ」と説明していますが、「アジア最大の多民族国家」は中国ではありませんか。

2010年7月23日の日本経済新聞電子版の「イチからわかる~ここがポイント 『伸びゆく中国』 おしえて!!先生スペシャル」という記事の中で森上教育研究所客員研究員の早川明夫氏は以下のように語っています。

「2008年に開いた北京オリンピックの開会式。カラフルな衣装を着た子どもたちの演出で話題になったように、中国は多民族国家です。9割を占める漢民族をはじめ、56の民族が暮らしています。チベット族やウイグル族など人口の多い民族には自治区があります」

ここでは明確に「中国は多民族国家です」と言い切っています。また、中国が「チベット族やウイグル族など」の少数民族を抱えた国家であることは広く知られています。人口、国土面積、経済規模などで中国はインドネシアを上回っているのですから「アジア最大の多民族国家」は中国だと思えます。

アジアにはインドという「インドネシアより大きな多民族国家」も存在します。中国とインドを上回ってインドネシアが「アジア最大の多民族国家」だと判断する材料は見当たりません。記事の説明は誤りだと考えてよいのでしょうか。正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

「アジアひと未来」での説明が正しい場合、2010年の電子版の記事で「中国は多民族国家です」と解説したのは誤りとなるのでしょうか。その点も回答をお願いします。

日経では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を期待しています。

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※日経からの回答はないだろう。今回の記事に関しては、以下の投稿も参照してほしい。

リオ・ハリアントの苦境無視が悲しい日経「アジアひと未来」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/01/blog-post_16.html


追記)結局、回答はなかった。

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