2016年6月25日土曜日

「英EU離脱」で日経 大林尚欧州総局長が見せた事実誤認

英国のEU離脱が決まった。当然、25日の日本経済新聞朝刊でも大々的に報じている。その中でも目立つのが「震える世界 英EU離脱(上) 『開国型』成長モデルに試練」という解説記事だ。筆者は大林尚欧州総局長。問題の多い書き手であり、重要な記事を大林欧州総局長に任せるのは誤りだとこれまでも指摘してきた。今回も事実誤認と思える記述がある。日経に問い合わせを送ったので、問題の部分と併せて見てほしい。なお、日経の対応は「無視」だと思われる。
皇居周辺の桜(東京都千代田区)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

来週、ロンドン郊外でテニスのウィンブルドン選手権が開幕する。英国人選手にとり優勝は高根の花。英経済を牛耳る金融やサービス業の大半を海外資本が占めるさまは、外国人選手によるセンターコートの席巻になぞらえられたが、グローバル化の先頭走者であったのは間違いない。

【日経への問い合わせ】

欧州総局長 大林尚様

「英EU離脱 震える世界(上)」という記事についてお尋ねします。大林様は記事の中で「来週、ロンドン郊外でテニスのウィンブルドン選手権が開幕する。英国人選手にとり優勝は高根の花」と述べています。しかし、2013年には英国人のアンディ・マレー選手がウィンブルドンで優勝していますし、今年の第2シードであるマレー選手は今回も有力な優勝候補です。かつては「英国人選手にとり優勝は高根の花」だったかもしれませんが、現状には当てはまりません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

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高嶺の花」とは「遠くから見るだけで、手に入れることのできないもの、あこがれるだけで、自分にはほど遠いもののたとえ」(デジタル大辞泉)だ。「英国人選手にとり優勝は高根の花」と言える状況が過去のものとなっているのは間違いない。

これは広く知られている話だ。大林総局長がそれを知らないのは仕方がない。だが、記事を任せるのは危険だ。日経の幹部はそこに早く気付いてほしい。

ちなみに最終版(14版)では「英国人選手にとり優勝は高根の花」となっているが、13版では「英国人選手にとり優勝は今年も高根の花」と「今年も」が付いている。「この説明はまずいのではないか」との議論が編集局内であり、若干の修正を加えたのかもしれない。だが、問題の解決には至っていない。大幅に直すと大林欧州総局長のご機嫌を損ねるとでも思ったのだろうか。


※記事の評価はD(問題あり)。大林尚欧州総局長への書き手としての評価はF(根本的な欠陥あり)を維持する。大林氏に関しては「日経 大林尚編集委員への疑問」「なぜ大林尚編集委員? 日経『試練のユーロ、もがく欧州』」「単なる出張報告? 日経 大林尚編集委員『核心』への失望」「日経 大林尚編集委員へ助言 『カルテル捨てたOPEC』」「まさに紙面の無駄遣い 日経 大林尚欧州総局長の『核心』」も参照してほしい。


追記)結局、回答はなかった。

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