モード学園コクーンタワー(東京都新宿区) ※写真と本文は無関係です |
日本点字図書館が作る障害者用の音声書籍。文字データはネットを通じ全国のシニアが確認する。協力する東大教授、広瀬通孝(61)の狙いは能力や時間に応じて複数のシニアと仕事をマッチングし、1人の仮想労働者を生み出すサービスだ。
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文字データの確認をネット経由で複数のシニアにやらせるのは分かる。しかし、それを進めると「1人の仮想労働者」が生まれるだろうか。それぞれのシニアは独立した労働者だし、もちろん「仮想労働者」でもない。100人で作業を分担するなら、そこには100人のリアルな労働者が存在するはずだが…。「1人の仮想労働者を生み出すサービス」というならば、それを納得できるような説明をしてほしい。
◎「個々の店舗対応では無理」な理由は?
「もはや個々の店舗対応では無理だ」。コンビニ最大手のセブンイレブンはシニア雇用を本部主導に切り替えた。
福岡県や大阪府などと協力。業務も見直し、最短2時間から働けるようにした。柏原安堂町店(大阪府柏原市)の北山靖美(63、写真)もその一人。週2日各2時間、高齢者宅に弁当を届け、見守りも行う。「ありがとうと言われるとうれしい」
シニア従業員は今や全国で約2万人。セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文(83)は「年齢は関係ない。市場の変化に合わせて働き方も変える」と強調する。
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今回の記事で最も説明が足りないのが上記のくだりだ。いきなり「もはや個々の店舗対応では無理だ」というコメントが出てくるが、なぜ「個々の店舗対応では無理」なのか記事の中に理由が全く出てこない。誰のコメントなのかも不明だ。
「シニア雇用を本部主導に切り替えた」という話も分かりにくい。本部がシニアを直接雇うのか、募集を本部がやってくれるのか、具体的に何を変えたのかを書いていない。「最短2時間から働けるようにした」ことについても、従来はどうだったのかに触れていないので変化の度合いを実感できない。いつから「最短2時間」にしたのかも書いていない。
「業務も見直し」という説明もあるが、これまた具体的な内容は紹介していない(最短2時間への変更が「業務の見直し」なのかもしれないが、ちょっと考えにくい)。「福岡県や大阪府などと協力」する内容も不明だ。「ひょっとすると2時間勤務が可能なのは大阪府と福岡県にある店舗だけなのでは」との疑問も湧くものの、もちろん記事中に答えはない。「これでもか」という勢いで次々と説明を省き、非常に漠然とした内容に仕上げている。
事例を詰め込み過ぎる今のやり方を続ける限り、第2回以降も説明不足は頻発するだろう。朝刊の1面を使ってこのレベルの記事を垂れ流し続ける罪深さを取材班には感じてほしい。
※記事の評価はD(問題あり)。
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