2015年11月22日日曜日

通年採用で疲弊回避? 日経 水野裕司編集委員に問う(2)

21日の日本経済新聞朝刊総合2面で「脱『新卒一括』、多様な採用を」という解説記事を書いていた 水野裕司編集委員は、わずか1年で見直しとなった「面接8月解禁」を2013年には紙上で前向きに評価していた。「経営の視点~新卒採用 悩む企業」(2013年4月29日朝刊企業面)という記事を材料に、水野編集委員の実力をさらに検証したい。
英彦山(福岡県添田町) ※写真と本文は無関係です

【日経の記事(2013年4月29日)】

経済界が政府の要請を受け、大学生の就職活動の解禁時期を遅らせることになった。学生の勉強時間の確保に一定の効果が期待できそうだが、企業からは採用活動の期間が短くなることで、優秀な学生を獲得しにくくなる懸念も出ている。どうしたら必要とする人材を採れるようになるのか。

2016年卒の大学生から、3年生の12月としている会社説明会の解禁時期が3年生の3月に、面接など選考試験の開始は4年生の4月から8月になる。

「就活」が早い時期に始まると、苦戦するうち自信を失う学生も少なくない。就活解禁時期の繰り下げは社会を担う若い人材を育てるための措置といえる

-------------------

「前向きに評価していたのに、結局は1年で見直しになったじゃないか」と結果論で責めるつもりはない。ただ、上記の「『就活』が早い時期に始まると、苦戦するうち自信を失う学生も少なくない」という説明は苦しい。就活が早く始まろうと遅く始まろうと、就職を巡る厳しさに大きな変化がなければ、自信を失う学生はこれまでと同じように出てくるからだ。この件では13年5月1日に水野編集委員へメールを送っている。そこでは以下のように指摘した。


【水野編集委員へ送ったメールの内容】

「就活が始まる時期が早くなれば、苦戦するうちに自信を失う学生が増える」と単純には言えません。増える場合もあれば、減る場合もあるでしょうが、基本的には中立要因だと思えます。しかし、記事からは「就活が早く始まると自信を失う学生が少なくないから、そういう学生を減らそうと解禁時期を繰り下げる」と解釈できます。

----------------------------------------

この記事にはもう1つ気になる点があった。記事の内容と併せて、水野編集委員に送ったメールを見てみよう。


【日経の記事(2013年4月29日】

半面、企業は、内定を辞退した学生を補充する期間が短くなるなどの影響が出そうだ。就活解禁時期の申し合わせに縛られない外資系企業などに優秀な学生を先にとられる心配も募る


【水野編集委員へ送ったメールの内容】

「内定を辞退した学生を補充する期間が短くなる」のは理解できます。しかし、「外資系企業などに優秀な学生を先にとられる心配も募る」との解説は引っかかりました。外資系が以前から解禁時期の申し合わせに縛られていないのであれば、解禁時期をどうしようが「優秀な学生を先に取られるリスク」に大きな変化はないはずです。解禁時期変更の影響として「外資系などに先に取られる心配も募る」と書くと、先に取られるリスクが増大してしまうような印象を受けます。

----------------------------------------

水野編集委員からは何の反応もなかったので、記事の問題点にきちんと気付いてくれたかどうかは分からない。21日の記事から判断すると、少なくともその後に生かしてくれてはいないようだ。今後の改善も期待しにくいだろう。そうなると、どうしても書き手としての評価は低くなる。

0 件のコメント:

コメントを投稿