2015年10月18日日曜日

徹底して「時期」に触れない日経企業面「アスクル」の記事

日経の企業ニュースは当たり前のように「時期」が抜ける。18日の朝刊企業面に載った「ユニ・チャームや花王が通販商品のパッケージ開発 アスクルと共同で」はその典型だが、ここまで徹底して時期に触れない姿勢を示されると、妙な潔ささえ感じる。
香山昇龍大観音(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

ユニ・チャームや花王グループなどはアスクルと組んで、新しいパッケージデザインの商品を開発する。インターネット通販サイトで集めたデータを分析することで、小売店の店頭で目立つだけでなく、消費者の好みをきめ細かく反映したデザインにする。ネット通販で販売する

ユニ・チャームは定番の生理用品「センターイン」に活用する。中身は通常の商品と大きく変わらないが、外観を白い木箱をイメージしたデザインにすることなどで、外から見ても生理用品だと分からないようにした。アスクルとヤフーが運営する通販サイト「ロハコ」で販売する

花王は主力の消臭スプレー「リセッシュ」のパッケージデザインに生かした。天然石のような色にすることで、インテリアになじむようにしたという。

アスクルは昨年、ネット通販で集めたビッグデータを活用して日用品メーカーなどと商品開発を進める社内組織を設立。日用品や食品を中心に約50社が参加している。このうち花王やユニ・チャームなど約20社はデザインをテーマにしたイベントに共同出展する


ユニ・チャームや花王グループなどはアスクルと組んで、新しいパッケージデザインの商品を開発する」というのが記事の柱だが、開発の時期には全く触れていない。「アスクルとヤフーが運営する通販サイト『ロハコ』で販売する」のが、いつになるかも不明。結びの「花王やユニ・チャームなど約20社はデザインをテーマにしたイベントに共同出展する」という情報に関しても、イベントの開催時期は教えてくれない。

あくまで推測だが、これは「確信犯」の手口だ。冒頭で「開発する」と書いてはみたものの、実際には開発済みの可能性が高い。記事では「外から見ても生理用品だと分からないようにした」「パッケージデザインに生かした」「インテリアになじむようにした」などと「開発」に関して過去形をいくつも使っている。しかし、「開発した」だと記事にしにくいので、最初だけ「開発する」と表記したのではないか。

いずれにせよ、これだけ時期に関する情報が抜けては、まともな記事とは言えない。記事の評価はE(大いに問題あり)とする。


※日経の企業ニュースの多くで「When」が抜ける問題については「『When』に触れない日経企業ニュースの強固な“伝統”」を参照してほしい。

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