2015年9月27日日曜日

逆張り消えた?日経 関口慶太記者「スクランブル」に疑問(2)

26日の日経朝刊マーケット総合1面の「スクランブル~消えた『逆張り』売買  超短期が支配、方向感なく」について、引き続き問題点を挙げていく。

◎「超・短期の順張り」ならば対応可能?

【日経の記事】
ユトレヒト(オランダ)のドム教会 ※写真と本文は無関係です

勘が働かない一因が、複雑な計算式に基づいた高速の短期売買を特徴とするアルゴリズム取引だ。CTA(商品投資顧問)の資金が株式だけでなく為替や原油の間を短時間に行ったり来たりするため、日本株の相場を読むだけでは通用しないのだ。そこで増え始めたのが当日朝に売買銘柄を決め、その日のうちに手じまう超・短期の順張りだ

松井証券によれば、9月のデイトレード比率は6割弱と8月(49%)に比べて上昇した。値動きの大きな新興市場銘柄に資金が流れ、9月1、2週目はFFRIやPCIホールディングスが、同証券の売買代金の上位10位に入る日が多かった。和里田聡常務は「空売りができない現物の取引が如実に減った」と話す。


上記の説明は理解に苦しんだ。アルゴリズム取引があろうとなかろうと、普通は為替や原油の動向も見て売買戦略を考えるはずだ。「日本株の相場を読むだけでは通用しないのだ」と言われると、「それはずっと前からそうでは?」と聞きたくなる。

勘が働かない」状態でも、「超・短期の順張り」ならば何とかなると解釈できる書き方も気になった。「超・短期の順張り」だと高い確率で利益を得られるならば、投資で食っていくのは楽な話だ。


◎リスクを取れない理由になる?

【日経の記事】

個人がリスクをとれないのは売買代金の7割を占める海外勢の売りエネルギーの強さが背景にある。外国人投資家は9月第2週(7~11日)まで5週連続売り越し。9月第2週に限れば1987年のブラックマンデー以来の大きさだ。大和証券の佐藤光氏は「市場が米国の年内利上げを織り込みにいった結果」と話す。


「海外勢の売りのエネルギーが強いから個人がリスクを取れない」という説明もおかしい。先安との判断であれば、信用売りを出してもいいし、インバースのETFを買う手もある。記事でも「空売りができない現物の取引が如実に減った」とのコメントを紹介しているのだから、空売りという形でリスクを取る個人が増えている可能性は高いのではないか。


◎「新・3本の矢」への反応は鈍い?

【日経の記事】 

25日の株式市場ではメガバンクなど配当利回りの高い銘柄が買われ、日経平均株価は3営業日ぶりに反発した。ただ安倍晋三首相が打ち出した「新・3本の矢」への反応は鈍く、反発力は弱い。


新・3本の矢」への反応は鈍かったと関口記者は書いているが、隣のページ(マーケット総合2面)には「保育・介護株が上昇 ~首相の『新3本の矢』好感」という記事が載っていて、 「25日の東京株式市場では保育や介護関連の銘柄が上昇した。安倍晋三首相が経済政策の新たな『3本の矢』として子育て支援や社会保障の充実を打ち出し、JPホールディングスなどが大幅高となった」と書いてある。矛盾するとは言わないが、読者を混乱させる紙面の作り方だ。編集局内での連携に問題があると思える。


※記事の評価はD(問題あり)、関口慶太記者の評価も暫定でDとする。

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