2015年9月26日土曜日

逆張り消えた?日経 関口慶太記者「スクランブル」に疑問(1)

厳しく言えば、掲載する価値のない記事だ。26日の日経朝刊マーケット総合1面に載った「スクランブル~消えた『逆張り』売買  超短期が支配、方向感なく」を書いた関口慶太記者には「これではダメだ」と気付いてほしい。見出しでは「消えた『逆張り』売買」となっているが、本当に逆張りは消えたのか。まずは、そこから見ていく。

ユトレヒト(オランダ)の運河 ※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

「勘が働かない。歴戦のトレーダーも討ち死にが目立つ」。あるネット証券社長からこんなため息がもれる。1日に信用取引で億円単位を動かすトレーダーは株価が上がりすぎた局面では「売り」、下がりすぎた局面では「買い」を入れて利益を積み上げてきた。この逆張りが失敗する局面が目立つという。同証券の信用買いの評価損益率は9月に入りマイナス12%を挟み行ったり来たりする

例えばIHI。排ガス試験を巡る不正が発覚したフォルクスワーゲンにエンジンの出力を上げるのに使う過給機を納めているとの連想から24、25日の2日で10%下げた。2016年3月期の予想純利益は最高を見込むにもかかわらず、1月の年初来高値から半値の水準にある。大阪市内で約3億円を運用する個人投資家、山田博文さん(仮名)は24日に自律反発狙いで買いを入れたが不発だった


そもそも関口記者が言うように「参加者の投資意欲は冷え、流れに逆らって『逆張り』で攻める動きも影を潜めている」のならば、「逆張りが失敗する局面が目立つ」のは奇妙だ。失敗するためには、「逆張りで攻める」必要がある。IHIに「自律反発狙いで買いを入れた」山田博文さんの例も「逆張りしている例」とは言えるが、逆張りが消えている傍証にはならない。結局、どういう根拠で「「消えた『逆張り』売買」と断定しているのか説明がない。

さらに言えば、逆張り投資の成績が全体として振るわないのかも判然としない。関口記者は「信用買いの評価損益率は9月に入りマイナス12%を挟み行ったり来たりする」ことから、逆張り投資はうまくいっていないと判断しているようだ。しかし、信用買いには、順張りも逆張りも含まれる。さらに言えば、逆張りの有効性を見る上では「信用売りでの逆張り」も考慮すべきだろう。

付け加えると、IHIを逆張りで買った山田さんは24日に買ったばかり。25日も下げたからと言って「不発だった」と判断するのは早すぎる。これを「逆張りがうまくいかない事例」にされても納得できない。

※残りの問題点は(2)で指摘する。

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