では、日立の“画期的”な取り組みを見てみよう。
マウリッツハイス美術館(オランダ)の所蔵品 ※写真と本文は無関係です |
日立のAIは約150ある検査項目から、糖尿病や高血圧、動脈硬化など20種類の生活習慣病について解析。5年後に発症する確率などを見積もり、社員に生活改善の指導を促す。
健保組合に加入しているグループ企業の社員約21万人から、健診の結果が悪い4万5千人について解析。特に保健指導の効果が高いとAIが判断した50人を抜き出した。指導を受けて半年間の医療費はその前の半年に比べて平均で約1万3千円減った。4万5千人から無作為に選んだ600人は同2千円弱の減少にとどまった。医療費削減効果を高める効果が期待できるという。今後、検証を進めるとともに、システムの外販も検討する。
上記の説明で「AIってすごいんだな」と納得できるだろうか。将棋でAIに勝負を挑んで勝てる気はしないが、日立のケースならば互角の勝負はできそうだ。少なくとも「無作為に選んだ600人」と比べる場合、医療費を大きく削減できる自信はある。方法は簡単だ。まず4万5000人の中から「過去半年間の医療費が特に多かった人」を選び出す。例えば、上から順に50人を選んで指導を受けさせても「無作為に選んだ600人」には勝てるだろう。削減額で比べるのだから、もともとの額が大きな人を選べば、無作為抽出との比較では圧倒的に有利になる。
そもそも記事のような比較では「AIに任せるべきかどうか」を判断できない。「AIの選んだ50人」と「無作為に選んだ600人」を比較しても意味はない。まず人数が違う。仮に600人ずつ選ぶならば「AIの選んだ600人」と「人(医師や健康指導係など)が選んだ600人」で効果を比べるべきだ。そこで統計的に有意な差が出るかを見る必要がある。
慶大の例も「AIを使う必要があるの?」という疑問は沸いた。
【日経の記事】
慶大の黒田忠広教授らが開発したAIは尿に含まれる物質の分析結果から肺がんを約9割の精度で見つける。肺がんになると健康時とは尿の成分が変わる。約400種の物質の種類や量から肺がん特有の特徴をAIで突き止める。肺がんはレントゲン検査では見逃すことが多い。新技術は従来の分析装置が使え、特別な施設は必要ないという。企業と共同で5年後の実用化を目指す。
「肺がんになると健康時とは尿の成分が変わる」と分かっているならば、尿の成分の分析結果を人が見るだけでも肺がんの可能性が高いかどうか判断できるはずだ。そんなに簡単ではないからAIに頼るのかもしれないが、記事を読んだ限りでは簡単そうな話だと思える。説明が足りないのだろう。
※連休明けで苦労しているのは分かるが、それにしても内容が苦しすぎる。記事の評価はD(問題あり)としたい。
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