2015年9月19日土曜日

「トランクルームに住まう」ではないような… 日経「トレンドサーチ」

日経のトレンド物は苦しいと分かってはいるが、「トランクルームに住まう」という見出しに釣られて読んでしまった。結果はやはり期待外れだった。ここでは「記事の事例はトランクルームに人が住んでいると言えるのか」を考えたい。19日の朝刊企業・消費面に出ていた「トレンドサーチ~トランクルームに住まう 上質の空間演出、まるで家」では以下のように書いている。


アムステルダムのライッツェ広場に建つHirsch&Cieビル
                ※写真と本文は無関係です
【日経の記事】

隠れ家のようなタイプも登場した。ライゼ(大阪市)の「ライゼホビー」のメゾネットタイプ(40~50平方メートル、月6万~10万円)は1階がシャッター付きガレージ、2階がフローリングの空間だ。レンガ調の外観にトイレ、流し台など設備が充実している

大阪市の森下仁さん(46)は経営する会社の拠点として使う。2階は衣料・雑貨品を展示したハワイアンテイストの商談スペースだ。1階は米カリフォルニア州の田舎をテーマにした趣味の空間。自動車を収納し、ナンバープレートやスケートボードなどを飾る。


これは「トランクルームに住まう」なのか。ただの「ガレージ付きの賃貸住宅」としか思えない。ライゼも「ライゼホビー」をトランクルームとしては売り出していないようだ。そもそも普通に考えれば、トイレや流し台を備えた段階で「トランクルーム」ではなくなってしまう。トランクルームとして借りたものに利用者が携帯トイレなどを持ち込んで住んでいるのであれば「トランクルームに住まう」と言えるかもしれないが…。

ついでに、記事の書き方で1つ注文を付けたい。問題としたいのは以下のくだりだ。


【日経の記事】

都内の東急沿線の住宅街に昨年11月、カフェのような建物が登場した。イナバクリエイト(東京・大田)のトランクルーム「INABA96プレミアムクローゼット」だ。室内はアロマとBGMで四季を演出し、「快適で上質な空間をねらった」という。

建物から徒歩約3分のマンションに住む会社員の佐藤裕子さん(53)は約1.5平方メートルのスペースを月約7千円で借り、家族3人分の秋冬衣料やブーツを収納している。「仕事帰りや急に必要になったとき、自宅の延長で気軽に利用できる」と満足げだ。


ここでは「従来のトランクルームとはちょっと違って、外観も室内もおしゃれな感じの物件があるんですよ」と訴えたいはずだ。なのに利用者のコメントが「仕事帰りや急に必要になったとき、自宅の延長で気軽に利用できる」では意味がない。これは従来のトランクルームの利用者からも出てくるコメントだ。筆者は「何のためにコメントを入れるのか」を考えずに記事を書いているのではないか。

※記事の評価はD(問題あり)

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