2015年7月8日水曜日

日経「コンビニ3社、3~5月経常最高益」に欲しい工夫

8日の日経朝刊企業総合面に出ていた「コンビニ3社、3~5月経常最高益 ~新商品好調 消費増税の影響一巡」はダメな記事ではない。「もう少し工夫すればなぁ…」と思える部分がいくつかあったので、列挙してみたい。まずは記事を見てみよう。

【日経の記事(全文)】
オランダのユトレヒト大学(Universiteit Utrecht)※写真と本文は無関係

大手コンビニエンスストアのセブン&アイ・ホールディングス、ローソン、ファミリーマートの2015年3~5月期の連結決算が出そろい、3社とも経常利益が過去最高となった。昨年の消費増税による影響が薄れ、新商品が好調だった。

7日発表のセブン&アイは経常利益が前年同期比5%増えた。おにぎりやサンドイッチの品質を改善し販売増につなげた。村田紀敏社長は「消費増税の影響は一巡し、新商品の発売などで刺激をすれば消費者は応えてくれる」と話す。

米国のコンビニ事業も好調だった。ただガソリンの販売価格下落が響き売上高は伸び悩んだ連結売上高に当たる営業収益は2%減だった。

ローソンの経常利益は16%増えた。健康志向をとらえたサラダなど販売が好調だった。高級スーパーの成城石井を買収した効果も加わり、売上高は2割伸びた。ファミマは弁当刷新で商品力を強化し増収増益だった。

3月時点で既存店売上高が前年同月を上回っていたのはセブン&アイ傘下のセブン―イレブン・ジャパンだけだった。4、5月は3社ともプラスで回復基調が鮮明だ。

連結純利益はセブン&アイが7%増の422億円。ローソンは不採算店舗の減損損失などで15%減の77億円となった。


◎減収でも「伸び悩み」?

「伸び悩む」とは「伸びが鈍る」という意味だ。増収率が低下しているのならば「伸び悩み」と表現しても問題ない。しかし、2%減収を「伸び悩み」とするのは無理がある。セブン&アイが「伸び悩みました」と説明しているのかもしれないが、それに釣られない記者であってほしい。


◎「既存店売上高」は欲しい

コンビニ3社の決算まとめならば、コンビニ事業の既存店売上高の増減率は入れてほしい。この数値がコンビニの好不調を測る指標になるからだ。本文に入れる余裕がないならば、表に含める手もある。セブン&アイの場合、スーパー事業や百貨店事業も連結業績に入ってくるのだから、コンビニに焦点を当てて書くのならば、「コンビニの既存店」に関する具体的な数字を盛り込みたい。ローソンも成城石井の買収効果で大幅増収らしいので、既存店増減収率がないとコンビニ事業の販売面での好不調を判断しにくい。


◎「回復基調が鮮明」?

4、5月の既存店売上高が3社とも増えているからと言って「回復基調が鮮明だ」と言い切ってしまうのは分析が甘い。昨年の4、5月は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動で売り上げが落ち込んでいたはずだ。コンビニでもタバコの買いだめなどの影響を受ける。その分を差し引いてでも「回復基調が鮮明」なのかは記事中で触れてほしかった。


※記事の評価はC(平均的)。

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