2022年8月1日月曜日

「危機は常に『未踏』の場所から」が苦しすぎる日経 小平龍四郎編集委員

ネタ切れなのか。1日の日本経済新聞朝刊グローバル市場面に小平龍四郎編集委員が書いた「危機はいつも『未体験ゾーン』から~『有望市場』一転、投資困難に」という記事は苦しい内容だった。「危機は常に『未踏』の場所から」と見る小平編集委員の分析に説得力はあるのか。そこに注目したい。

夕暮れ時の筑後川

【日経の記事】

危機は常に「未踏」の場所から――。私たちの記憶に刻まれているのは、ちょうど25年前の夏の出来事だ。1997年7月から始まったアジア通貨危機は、同年11月の日本版金融危機の背景ともなり、翌年のロシア危機へと連鎖した。

危機の震源地となったのはタイ。高い経済成長で先進国の投資を引きつけていたが、ファンドを牛耳る多くのトレーダーは、むせかえる高温多湿の東南アジア新興国に足を踏み入れたことなどなかったのではないか。冷房のきいたオフィスに陣取り、情報端末をにらみながら新興国投資に傾斜する若者を見たこともある。


◎想像が頼り?

ファンドを牛耳る多くのトレーダーは、むせかえる高温多湿の東南アジア新興国に足を踏み入れたことなどなかったのではないか」と小平編集委員は振り返る。「タイ」が「『未踏』の場所」かどうかは推測頼みのようだ。

さらに言えば「冷房のきいたオフィスに陣取り、情報端末をにらみながら新興国投資に傾斜する若者を見たこともある」としても、その「若者」がタイを訪れたことがないとは限らない。

この後「『未踏』の場所」の話はさらに厳しくなる。


【日経の記事】

スリランカ、パキスタン、バングラデシュ――。経済や政情の混乱で、金融システムの火種とも意識されるようになった国々は、位置づけとしては、四半世紀前のタイなど東南アジア諸国に近いものがある。足を踏み入れたことはないが、それだけに興味をそそられ、新しい投資機会も想起させる。アジア新興国の成熟に伴い、手つかずの市場を探すマネーが流れ込む構図だ。


◎例はこれだけ?

アジア通貨危機」と最近の「スリランカ、パキスタン、バングラデシュ」。「危機は常に『未踏』の場所から」というものの事例はこれだけだ。しかも「スリランカ、パキスタン、バングラデシュ」に関しては「足を踏み入れたことはないが」と書いているだけで、誰にとっての「未踏」なのか不明。

日本のバブル崩壊、リーマンショック、欧州債務危機ーー。「危機」は色々とあった。それらを踏まえても「危機は常に『未踏』の場所から」と言えるのか。小平編集委員も、そこは分かっているはずだ。

「ネタに困って苦し紛れに話をまとめた」と考えれば腑には落ちる。


※今回取り上げた記事「危機はいつも『未体験ゾーン』から~『有望市場』一転、投資困難に


※記事の評価はD(問題あり)。小平龍四郎編集委員への評価はF(根本的な欠陥あり)を据え置く。小平編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「近づく百貨店終焉の足音」を描けていない日経 小平龍四郎編集委員の記事https://kagehidehiko.blogspot.com/2022/02/blog-post_7.html

日経 小平龍四郎編集委員  「一目均衡」に見える苦しさ
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/09/blog-post_15.html

基礎知識が欠如? 日経 小平龍四郎編集委員への疑念(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_11.html

基礎知識が欠如? 日経 小平龍四郎編集委員への疑念(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_73.html

日経 小平龍四郎編集委員の奇妙な「英CEO報酬」解説
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/07/blog-post_19.html

工夫がなさすぎる日経 小平龍四郎編集委員の「羅針盤」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_3.html

やはり工夫に欠ける日経 小平龍四郎編集委員「一目均衡」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/10/blog-post_11.html

ネタが枯れた?日経 小平龍四郎編集委員「けいざい解読」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_20.html

山一破綻「本当に悪かったのは誰」の答えは?日経 小平龍四郎編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/10/blog-post_10.html

日経「一目均衡」に見える小平龍四郎編集委員の限界
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_14.html

相変わらず問題多い日経 小平龍四郎編集委員「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_53.html

 何のためのインド出張? 日経 小平龍四郎編集委員「一目均衡」https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/10/blog-post.html

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