プロ野球に詳しくないおじさんが最近の大谷翔平や佐々木朗希の活躍を見て思い付いたことを書いてみたーー。29日の日本経済新聞朝刊スポーツ面に武智幸徳編集委員が書いた「アナザービュー~大型選手が先入観崩す」という記事は、そんな内容だ。詳しくないからか誤解もある。全文を見た上で指摘したい。
夕暮れ時のうきは市 |
【日経の記事】
二刀流で活躍する米大リーグの大谷翔平(エンゼルス)、日本のプロ野球であわや2試合連続完全試合をやってのけそうになった佐々木朗希(ロッテ)の活躍を見るにつけ、爽快な気分になる。身長193センチの大谷、190センチの佐々木が躍動する姿はダイナミズムにあふれ、「大男総身に知恵が回りかね」というような固定観念も木っ端みじんにしてくれる。
大谷のフットワーク、佐々木のしなやかな身体操作と腕の振りを見ていると、例えばこの二人がテニスをしていたら、大型化が進む現在のあちらの世界でもロシアのメドベージェフにもサーブだけなら負けないんじゃないかと夢想してしまう。
優れたアスリートは、その競技を選んだことで開かれた可能性と同時に、閉ざされた可能性についても想像をかきたててくれるわけだ。
大谷や佐々木のような日本人の大型アスリートの出現は決して"突然変異"ではない気もしている。彼らのようなタレントは実は昔からバレーボールやバスケットボールのような競技に潜んでいたと思うのだ。ただ野球界に流れて来なかっただけで。
子供の頃から体がひときわ大きいとコーディネーション能力が備わるまでその体を持て余しがちになる。それで機敏な動きを求められる野球やサッカーになじめず、高さを生かせる競技に進む。
身体のサイズという面から見ると、団体球技はいろんな体格の選手が自分に合ったポジションで花を咲かせ、それなりにダイバーシティー(多様性)を実現させているのだろう。「大きければ大きいほど良いってもんじゃない」というのはスポーツの妙味で、小柄なメッシ(アルゼンチン)に励まされ、「小さいから」といって諦めずに頑張るサッカーキッズは世界中にいることだろう。
競技をする側にも指導する側にも、その競技に適正のサイズ感のようなものが先入観としてある。そして大きな子供ほどその振り分けの対象になりやすい。大谷や佐々木も、そういう意味で励ましを与える存在なのかもしれない。「大きいから」といって「この競技には向いてない」なんて考える必要はないということを。大谷や佐々木に触発され、彼らのような大きな投手、打者が日本からさらに出てくる気がする。
◎「野球界に流れて来なかった」?
今回の記事で最も引っかかったのが「大谷や佐々木のような日本人の大型アスリートの出現は決して"突然変異"ではない気もしている。彼らのようなタレントは実は昔からバレーボールやバスケットボールのような競技に潜んでいたと思うのだ。ただ野球界に流れて来なかっただけで」という部分だ。
日本が優勝した2009年のWBCを武智編集委員は見ていないのだろう。この時はダルビッシュ有投手と岩隈久志投手がエース格。共に身長は190センチ台だ。
「野球界」でも「大谷や佐々木のような日本人の大型アスリート」は10年以上前から当たり前にいた。190センチ以上の身長がある「日本人」自体が稀なので、プロ野球でも人数はそれほど多くないだろう。しかし「バレーボールやバスケットボール」と同等かそれ以上に「野球界」は「日本人の大型アスリート」を取り込んでいたと感じる。
ついでに言うと「身長193センチの大谷、190センチの佐々木が躍動する姿はダイナミズムにあふれ、『大男総身に知恵が回りかね』というような固定観念も木っ端みじんにしてくれる」というくだりも気になった。
「『大男総身に知恵が回りかね』というような固定観念」を武智編集委員が持っていたということだろう。明らかな偏見で時代錯誤が過ぎる。
サッカーが専門分野の武智編集委員にスウェーデン出身で身長190センチ超えのイブラヒモビッチ選手などはどう映ったのか。足技も華麗との印象があるが、それでも「『大男総身に知恵が回りかね』というような固定観念」を払拭するには至らなかったのか。
となると武智編集委員のサッカーに関する見識にも不安が出てくる。
※今回取り上げた記事「アナザービュー~大型選手が先入観崩す」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220429&ng=DGKKZO60450170Y2A420C2UU8000
※記事の評価はD(問題あり)。武智幸徳編集委員への評価もDを維持する。武智編集委員については以下の投稿も参照してほしい。
テレビ観戦で思い付いたことを並べただけ? 日経 武智幸徳編集委員「アナザービュー」https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/06/blog-post_25.html
日経 武智幸徳編集委員は日米のプレーオフを理解してない?
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/12/blog-post_76.html
「骨太の育成策」を求める日経 武智幸徳編集委員の策は?
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/02/blog-post_87.html
「絶望には早過ぎる」は誰を想定? 日経 武智幸徳編集委員
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/03/blog-post_4.html
日経 武智幸徳編集委員はサッカーと他競技の違いに驚くが…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/06/blog-post_2.html
日経 武智幸徳編集委員は「フィジカルトレーニング」を誤解?
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/07/blog-post_14.html
W杯最終予選の解説記事で日経 武智幸徳編集委員に注文
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post.html
「シュート選ぶな 反則もらえ」と日経 武智幸徳編集委員は言うが…
https://kagehidehiko.blogspot.com/2017/12/blog-post_30.html
「ドイツでは可能な理由」を分析しない日経 武智幸徳編集委員の不思議https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/11/blog-post_29.html
日経 武智幸徳編集委員はスポーツが分かってない?(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_21.html
日経 武智幸徳編集委員はスポーツが分かってない?(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_43.html
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