延々と昔話を続けて、最後に少しだけ現状にコメントして記事を締める。日本経済新聞のベテランの書き手にありがちなパターンだ。7日の朝刊オピニオン面に論説フェローの芹川洋一氏が書いた「核心~令和臨調、3度目の挑戦 なるか衰退日本の立て直し」という記事もそうだ。約3分の2を昔話に充てている。
両筑橋架け替え工事現場 |
昔話の後の結論部分を見ていこう。
【日経の記事】
令和臨調がめざす第1は、政党や国会のあり方など90年代以降の改革のバージョンアップにあたる「統治構造改革2.0」だ。
次に国内総生産(GDP)の2倍超にのぼる債務残高をかかえる財政・社会保障制度の改革である。3つ目は人口減少と超高齢化を直視した国土構想の戦略だ。
それぞれ部会をつくり各界の識者に参加を求め、3年がかりで提言をまとめていく。
民間政治臨調からずっと事務局を担当してきた日本生産性本部の前田和敬理事長は次のように語る。
「平成デモクラシーの制度を検証し、運用がおかしくなっているところはあらため、担い手の政党と政治家のあり方もただしていくことで、日本を立て直していくきっかけをつかみたい」
制度、運用と来て、こんどは担い手を組み込んだ政治改革の総仕上げができるかどうか。そう平たんな道行きでないのは過去の経験が物語るとおりだが、手をこまぬいていたらこの国がもっと沈んでいくことだけはまちがいない。
◎これだけ?
「令和臨調」に関する簡単な説明をした後で「制度、運用と来て、こんどは担い手を組み込んだ政治改革の総仕上げができるかどうか。そう平たんな道行きでないのは過去の経験が物語るとおりだが、手をこまぬいていたらこの国がもっと沈んでいくことだけはまちがいない」と書いて記事は終わりだ。
何のための「論説フェロー」なのか。「令和臨調」の内情に鋭く切り込む分析を見せてもいい。「令和臨調」が進めようとする「担い手を組み込んだ政治改革の総仕上げ」に関して独自の視点で助言してもいい。そこに紙面を割くべきだ。
しかし「手をこまぬいていたらこの国がもっと沈んでいくことだけはまちがいない」と毒にも薬にもならない話で記事を締めてしまう。具体的に訴えたいことはないので、昔話で行数を稼いで何とかコラムをまとめたのだと思える。
訴えたいこともなく独自の分析も難しいのならば、そろそろ後進に道を譲ってはどうか。論説委員長、論説主幹、論説フェローと肩書を変えてコラムを書き続けているが、余人をもって代えがたい書き手とも思えない。そろそろ引退の時期だ。
※今回取り上げた記事「核心~令和臨調、3度目の挑戦 なるか衰退日本の立て直し」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220307&ng=DGKKZO58784270U2A300C2TCT000
※記事の評価はD(問題あり)。芹川洋一氏への評価はE(大いに問題あり)を据え置く。芹川氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。
日経 芹川洋一論説委員長 「言論の自由」を尊重?(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_50.html
日経 芹川洋一論説委員長 「言論の自由」を尊重?(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_98.html
日経 芹川洋一論説委員長 「言論の自由」を尊重?(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_51.html
日経の芹川洋一論説委員長は「裸の王様」? (1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_15.html
日経の芹川洋一論説委員長は「裸の王様」? (2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_16.html
「株価連動政権」? 日経 芹川洋一論説委員長の誤解
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/08/blog-post_31.html
日経 芹川洋一論説委員長 「災後」記事の苦しい中身(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/03/blog-post_12.html
日経 芹川洋一論説委員長 「災後」記事の苦しい中身(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/03/blog-post_13.html
日経 芹川洋一論説主幹 「新聞礼讃」に見える驕り
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/04/blog-post_33.html
「若者ほど保守志向」と日経 芹川洋一論説主幹は言うが…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_39.html
ソ連参戦は「8月15日」? 日経 芹川洋一論説主幹に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/815.html
日経1面の解説記事をいつまで芹川洋一論説主幹に…
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/12/blog-post_29.html
「回転ドアで政治家の質向上」? 日経 芹川洋一論説主幹に問う
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/08/blog-post_21.html
「改憲は急がば回れ」に根拠が乏しい日経 芹川洋一論説主幹
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/01/blog-post_29.html
論説フェローになっても苦しい日経 芹川洋一氏の「核心」
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/04/blog-post_24.html
データ分析が苦手過ぎる日経 芹川洋一論説フェロー
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/06/blog-post_77.html
「政権の求心力維持」が最重要? 日経 芹川洋一論説フェローに問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/10/blog-post_79.html
「野党侮れず」が強引な日経 芹川洋一 論説フェローの「核心」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/06/blog-post_18.html
「スペイン風邪」の話が生きてない日経 芹川洋一論説フェロー「核心」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/04/blog-post_27.html
日経 芹川洋一論説フェローが森喜朗氏に甘いのは過去の「貸し借り」ゆえ?https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/02/blog-post_11.html
日本の首相に任期あり? 菅首相は安倍政権ナンバー2? 日経 芹川洋一論説フェローに問うhttps://kagehidehiko.blogspot.com/2021/09/2.html
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