2022年1月20日木曜日

懲りずに投資家をアクティブファンドへ誘い込もうとする楽天証券 篠田尚子氏

楽天証券経済研究所ファンドアナリストの篠田尚子氏は仕事上、アクティブファンドを投資家に薦めなければならない立場なのかもしれない。そこを責めるつもりはないが、投資初心者にとっては厄介な存在だ。週刊エコノミスト1月25日号の「Q7 インデックスに勝つアクティブファンドって?~日本株対象は多く、米国株は少ない」という記事でも言葉巧みに投資家をアクティブファンドへ誘い込もうとしている。

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一部を見ていこう。

【エコノミストの記事】

かたや日本はというと、企業の成長性はさほど関係なく、株式時価総額の上位銘柄もダイナミックな変化は見られない。米国ほど株式市場に十分な自浄作用が働いていないということになる。

おさらいすると、米国は、勝者がどんどん上を目指せる一方、敗者が退場するサイクルでインデックス型投信でも十分なパフォーマンスを得られる。インデックス運用はパッシブ(=受動的)な運用方法の1つだが、米国の場合はインデックスそのものがアクティブ(=能動的)な動きをしている。例えば「米国株はインデックス型」「日本株はアクティブ型」にするなどとファンドを選びやすくなる。


◎「日本株はアクティブ型」?

仮に日本では「米国ほど株式市場に十分な自浄作用が働いていない」としよう。そのために「インデックス型投信」では「十分なパフォーマンスを得られ」ないとしても「日本株はアクティブ型」と考える必要はない。「アクティブ型」は「信託報酬が相対的に高くなる」と篠田氏も記事で説明している。

日本株はアクティブ型」と言うならば、コストを差し引いた後でも「アクティブ型」の「パフォーマンス」が「インデックス型」を上回る確率が高いと言える根拠が欲しい。しかし、記事にそうしたデータは見当たらない。そのことは篠田氏も分かっているのだろう。「例えば『米国株はインデックス型』『日本株はアクティブ型』にするなどとファンドを選びやすくなる」と遠回しな言い方をしている(日本語としてやや不自然な文だが、ここでは問題としない)。

その代わりに篠田氏はあまり意味のないデータを出してくる。そこも見ておこう。


【エコノミストの記事】

投信の運用力を測る指標は数々あるが、ここではシンプルにリターン(分配金再投資後基準価額)で、日本株と米国株のアクティブファンドの運用力を確認してみよう。

米国株と日本株それぞれを投資対象とするアクティブファンドについて、過去1年、3年、5年、10年のリターンをインデックスファンドと比較し、全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンドの本数は、日本株「33」、米国株「4」だった。


◎33本が有力?

全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンド」が日本株では「33」あるらしい。「これらを選べばインデックスファンドに勝つ可能性が高い」とは篠田氏も言っていない。だったら何のためにこの数字を見せたのか。何とか「アクティブファンド」に誘い込もうとする意図は感じる。

アクティブファンド」の好成績は基本的にまぐれと見るべきだ。例外なしとは言わないが、実力で超過リターンを得ているファンドを見抜く方法はほぼない。「自分にはそれが分かる」という投資家ならば「アクティブファンド」を選ぶことに合理性があるが、それ以外の投資家は「信託報酬が相対的に高くなる」アクティブファンドを選択肢から外していい。

もう1つ気になるのが「33」と「4」の対比だ。これだけ見ると「日本株」ならば「インデックスファンド」に勝ちやすいような印象を受ける。しかし「米国株はそもそも母数となるファンドの数が日本株と比べて少ない」らしい。ならば、なぜ「全期間でインデックスファンドを上回ったアクティブファンド」をファンド全体に対する比率で見せないのか。その辺りにも「日本株はアクティブ型」へと誘導しようとする篠田氏の意図を感じる。


※今回取り上げた記事「Q7 インデックスに勝つアクティブファンドって?~日本株対象は多く、米国株は少ない

https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220125/se1/00m/020/023000c


※記事の評価はD(問題あり)。篠田尚子氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「アクティブ投信」を薦める楽天証券経済研究所の篠田尚子氏を信じるな!https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/05/blog-post_15.html

「毎年決まった日」にリバランスすべき?篠田尚子氏の週刊エコノミストでの解説に異議https://kagehidehiko.blogspot.com/2021/02/blog-post_2.html

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