ギャンブルは株式投資よりも高いリターンを得られるだろうか。その可能性は低いと見るべきだが、いちよし証券上席執行役員チーフエコノミストの愛宕伸康氏はギャンブルの方がリターンが高くなるとの考えらしい。週刊エコノミスト1月25日号の「Q1 『投資』と『ギャンブル』の違いは?~お金を投じる目的で考える」という記事で以下のように説明している。
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【エコノミストの記事】
ここでは、金融商品の具体的なリスク特性には言及しないが、図(注:リスクとリターンの関係を示したもの)のゼロ近辺にリスクとリターンの最も小さい「預貯金」が位置することに異論はないだろう。そしてリスクが大きくなるにつれて「債券(国債)」「投資信託」「株式」の順にリターンが大きくなり、最後に「ギャンブル」が位置するとイメージできる。
◎ギャンブルはハイリターン?
記事には「市場は、有価証券の短期売買でさや取りを狙う行為を投機と呼び、胴元が寺銭を取るギャンブルとは区別している」との記述がある。なのでここでは「ギャンブル=胴元に寺銭を取られる賭け事」と考えたい。
例えば競馬だ。寺銭の割合(控除率)を20%とすると馬券を買った人の期待リターンはマイナス20%だ。株式の期待リターンがプラスだとすれば、明らかに競馬はリターンが低い。リスクがそれなりに大きいとすればハイリスク・ローリターンと見るべきだ。
リスクの大きさに見合ってリターンも大きくなるのならば、ギャンブルに投資資金を投じるのは必ずしも悪いことではない。まともな投資対象と見なされないのは、リスクの高さとは裏腹にローリターン(しかもマイナス)だからだ。そこを愛宕氏は理解していないのか。
付け加えると「リスクとリターンの最も小さい」のが「預貯金」で、その次に「リスク」が小さいのが「債券(国債)」という説明もおかしい。
「国債」と「預貯金」で言えば「国債」の方がリスクは小さい。日本の政府と民間銀行のどちらが破綻リスクが小さいかは言うまでもない。ただ1000万円以下の「預金」は政府が保護してくれるので「国債」と同程度のリスクと言える。
※今回取り上げた記事「Q1 『投資』と『ギャンブル』の違いは?~お金を投じる目的で考える」
※記事の評価はD(問題あり)
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