日経ビジネスの安藤毅編集委員は訴えたいことがない書き手なのか。4月26日号に載った「日米首脳会談で『対中国』連携確認~日本が直面、経済・安保の狭い道」という記事を読んで、そう感じた。「日米首脳会談」を受けて台湾問題を取り上げたものの「米国との連携を深めつつ、最大の貿易相手国である中国とどう向き合うか。狭い道を進む備えと戦略が問われる」という当たり障りのない結論で記事を締めている。
金川カントリーエレベーター |
台湾問題を考える上で、安藤編集委員には以下の問題を考えてほしい。
(1)台湾併合は現実的な問題?
中国が武力で台湾を併合するというシナリオが現実的なものなのか。仮に非現実的な話ならば、「日米首脳会談」での「台湾言及」は無駄に中国を刺激していることになる。賢い選択ではない。
(2)米国は中国と戦ってでも台湾を守る?
台湾を中国の一部と認めている米国が武力を使ってでも台湾を守るのか。個人的には、守らない気がする。安藤編集委員はどう考えるのか。そこが知りたい。
守ると見ているのならば、中国が台湾に侵攻すると米中戦争が起こり「米国との連携を深め」た日本は米国と共に中国と戦う可能性が高まる。
(3)台湾を守るために戦争する意味ある?
尖閣諸島を守るために米国とともに中国と戦うのならば、まだ分かる。しかし中国の一部と日本も認めている台湾が武力で併合されたからと言って、なぜ日本が米国と共に中国と戦わなければならないのか。
米国がどうしても中国と戦って台湾を守るという姿勢ならば、「米国との連携」は大胆に緩める方が得策ではないのか。
(4)「狭い道」がある?
中国には武力による台湾併合への確固たる意思があり、米国には武力を用いてでもそれを阻止しようとする明確な方針があるとしよう。この場合「米国との連携を深め」つつ、中国とも上手く付き合えるような「狭い道」はない。
「狭い道」があると安藤編集委員が考えるのならば、それはそれでいい。ただ「狭い道」がどんな道なのかは示してほしい。
そのイメージがないのならば「狭い道を進む備えと戦略が問われる」と結ぶのは無責任だ。「とにかく上手くやってね」と言っているのと大差ない。
「ホームランを増やしつつ三振を減らす工夫が求められる」とか「社会保障の充実を進めつつ財政健全化を実現する手腕が問われる」などと言うのは簡単だ。しかし現実には両立が難しい。その「狭い道」を進めと求めるのならば、書き手にもそれなりの案が求められる。
編集委員という肩書を付けて記事を書くならば、なおさらだ。
そのことを安藤編集委員には、よく考えてほしい。
※今回取り上げた記事「日米首脳会談で『対中国』連携確認~日本が直面、経済・安保の狭い道」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/01024/
※記事の評価はD(問題あり)。安藤毅編集委員への評価はDを維持する。安藤編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「キャメロン発言が示唆に富む」? 日経ビジネス安藤毅編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/02/blog-post_11.html
「歴代最長の次は安定か混沌か」に答えを出さない日経ビジネス安藤毅編集委員https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/09/blog-post_5.html
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