28日の日本経済新聞朝刊経済面に載った「上がらぬ物価、米欧と差~日銀、今年度見通し下げ デジタルで成長不可欠」という記事では「物価上昇=良いこと」との前提が引っかかった。
夕暮れ時の筑後川河川敷 |
「デジタル分野などの成長戦略で企業の活力を引き出し、賃上げにつなげられなければ物価の底上げは望めない」「国際通貨基金(IMF)の最新予測では、米国の物価上昇率は21、22年ともに2%を超え、日本の出遅れ感は鮮明になる」などと書いている。
筆者は「物価の底上げ」を望み「物価上昇」に関する「日本の出遅れ」は好ましくないと感じているようだ。記事に付けた表によると3月の消費者物価指数(3月、前年同月比)で日本は0.2%の下落。米国は2.6%の上昇だ。なので物価上昇率を日本は0%、米国は3%として考えてみよう。
3%より0%の方が良いとは言い切れない。個人的には0%の方がいい。日経も3月7日の記事で小竹洋之編集委員が以下のように書いている。
「『大きくいこう(Go big)』と銘打った米バイデン政権の財政出動を巡り、賛否両論が巻き起こっている。コロナ禍に対応する1・9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策が過大で、米国の景気過熱やインフレを助長しかねないと懸念する識者と、これに異を唱える識者との活発な論争が続く」
「インフレを助長」することは好ましくないと考える「識者」もいるようだ。仮に3%が許容できる物価上昇率の上限だとすると米国は「財政出動」がしにくくなっている。「コロナ禍に対応する」ために「財政出動」はしたいが「インフレを助長」するのはマズいとの立場ならば、物価上昇率は0%の方が好ましい。
金融政策のやりやすさなどを考えると2%程度の物価上昇率が望ましいとの考え方も理解はできる。だからと言って単純に「物価上昇=良いこと」との前提で記事を書くのは感心しない。
日本では長年、物価上昇率が0%前後で推移している。物価の安定を是とするならば、理想に近いとも言える。
そのことを記事の書き手には考えてほしい。
※今回取り上げた記事「上がらぬ物価、米欧と差~日銀、今年度見通し下げ デジタルで成長不可欠」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210428&ng=DGKKZO71432000X20C21A4EE8000
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