19日の日本経済新聞朝刊企業2面に載った「NEC、管理職の成果主義強める~来期からジョブ型後押し」という記事は完成度が低かった。と言うより、この中身で3段見出しを付けて世に出せるのが悪い意味で凄い。全文を見た上で問題点を指摘したい。
NECは2022年3月期から、課長職以上の管理職を対象に成果主義を強めた新しい人事評価制度を導入する。これまで横並びの色合いが濃く報酬に大きな差が生まれにくかった。メリハリのある考課や報酬で仕事への意欲を高める。職務を明確にして働く「ジョブ型」人事制度を一部専門職などで適用しているが、評価制度の見直しで対象を広げる。
全社員の3割に当たる約6千人の管理職で新評価制度を適用。管理職は1年間の業務の目標を示した「コミットメントシート」を提出し、期末に成果や達成度合いを厳しく評価する。これまで半期ごとに評価をしていたが、報酬に反映する成果の割合が少なかった。
NECは19年3月期に執行役員の人事評価制度で業績連動以外に個人間でも報酬などに差が生じる成果主義を導入した。今後は課長以上にも対象を広げ、将来的にはグループ会社を含む全社員に広げていく考えだ。
NECは人工知能(AI)やデータサイエンスといった高度な専門性を持つ人材を中心にジョブ型雇用を導入しており、21年4月からは新卒でもジョブ型採用を始める。今回、成果主義を適用した人事評価に見直すことで、23年3月期以降に会社全体でジョブ型にスムーズに移行できるようにする。
◎数値はなし?
「管理職の成果主義強める」というのが記事の柱だ。しかし、どの程度「強める」のかは読み取れない。「これまで半期ごとに評価をしていたが、報酬に反映する成果の割合が少なかった」と書いているので「成果の割合」を高めるのだろう。だったら具体的な数値は欲しい。「これまで横並びの色合いが濃く報酬に大きな差が生まれにくかった」と言うだけで、今後はどのぐらいの「大きな差が生まれ」るのか伝えないのは苦しい。
取材をしてもNECが数値を明らかにしないのならば「管理職の成果主義強める」という話を柱にするのは諦めるべきだ。
「来期からジョブ型後押し」という話も理解に苦しむ。「ジョブ型」と「成果主義」に直接的な関係はない。「成果主義」を採用しない「ジョブ型」も当然にあり得る。メンバーシップ型で「成果主義」を採用してもいい。
「成果主義を適用した人事評価」にすると「ジョブ型にスムーズに移行できる」と筆者は見ているようだが、その理由は説明していない。そこも苦しい。
※今回取り上げた記事「NEC、管理職の成果主義強める~来期からジョブ型後押し」https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20210319&ng=DGKKZO70115870Y1A310C2TJ2000
※記事の評価はE(大いに問題あり)
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