週刊ダイヤモンド3月13日号の「『前田』の名を看板から消す覚悟も~前田建設、親子げんかの顛末」という記事は引っかかるところが多かった。まずは「親子げんか」について。記事の冒頭には「準大手ゼネコンの前田建設工業は1年前、グループ傘下の前田道路に対するTOB(株式公開買い付け)に成功した。当時『親子げんか』状態だった両社を束ねる統合会社は看板から『前田』を消そうとしている」との記述がある。
三ノ宮駅 |
「当時」は「前田建設による前田道路株所有は24%強にとどまっていた」ことを筆者の松野友美記者も認めている。子会社ではなく関連会社だった「前田道路」は「親」と争った訳ではない。親戚同士の争いといったところか。
さらに気になるのが「両社を束ねる統合会社」の話だ。「前田建設グループを統べる持ち株会社については、水面下で社名に前田の名前を冠さない案が出ている」という。
「前田の名前を冠さない」理由について「コンセッションの世界では(「前田」というブランドが)逆に邪魔になることもある。『施工がしたくて入札に参加したと思われてしまう』(前田建設幹部)のだ。前田建設は施行だけでなく運営を受託すること、運営することで広がるビジネスに野心を持っている。その道を進むためには前田の名前すら外してしまおうというわけだ」と松野記者は説明している。
そもそも社名に「前田」を入れるかどうかで「入札」の結果が変わるのか疑問だ。空港などの「コンセッション」では、発注側も素人ではない。社名を変えても「旧前田建設」と認識される見るのが自然だ。
それに「施工がしたくて入札に参加したと思われて」もいいのではないか。「施行」の受注も狙っているのならば、大きな誤解はない。十分に魅力的な条件を提示すれば落札もできる気がする。「条件はいいけど前田建設は施工がしたいだけだろ。だから不採用」となるものなのか。
「コンセッション」の受発注の内情に詳しい訳ではないが「施工がしたくて入札に参加したと思われてしまう」のを避けるためという理由には納得できなかった。
※今回取り上げた記事「『前田』の名を看板から消す覚悟も~前田建設、親子げんかの顛末」
※記事の評価はD(問題あり)。松野友美記者への評価はDで確定とする。
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