2020年11月26日木曜日

IT大手にマネーが「一極集中」と日経 藤田和明編集委員・後藤達也記者は言うが…

26日の日本経済新聞朝刊1面トップは「危機下の株高、IT主導~NY株、初の3万ドル 緩和マネーが一極集中」という記事が飾っている。日経は「IT」株へのマネー「一極集中」というストーリーを好むが、いつも説得力がない。今回の説明も見ておこう。

日田市を流れる串川

【日経の記事】

今回は再びIT株がけん引する。採用銘柄のアップル、マイクロソフトに加え、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、フェイスブックの5社で時価総額は7.1兆ドル(約750兆円)と、日本株全体を上回る。

ダウ平均が2万ドルから3万ドルへと50%上昇した間に、5社の時価総額は3倍近くに膨らんだ。米国株全体に占める比率も17%と一極集中が進む


◎17%で「一極集中」?

5社の時価総額」が「米国株全体に占める比率」が90%に達しているのならば「一極集中」でいいだろう。だが「17%」ではそれほどでもない。しかも「5社」だ。「五極」とも捉えられる。

5社の時価総額」が「3倍近く」になる一方で「5社」以外の「時価総額」がほぼ横ばいならば、新規の「マネー」に関しては「一極集中」かもしれない。だが記事にそうした記述はない。今年に入ってからのテスラの株価急騰などを見ていると「5社」に「一極集中」と見るのは無理がありそうだ。

ついでに以下の記述にも注文を付けておく。


【日経の記事】

米国株の主役は5年ほどの周期で入れ替わってきた。ダウ平均が初めて1万ドルに乗せた1999年の後はインターネットの普及でIT(情報技術)株が脚光を浴びた。00年代半ばは金融株、10年前後はエネルギー株が市場の立役者だった。

今回は再びIT株がけん引する。採用銘柄のアップル、マイクロソフトに加え、アマゾン・ドット・コム、アルファベット、フェイスブックの5社で時価総額は7.1兆ドル(約750兆円)と、日本株全体を上回る。


◎5年周期ならば…

5年ほどの周期で入れ替わってきた」と打ち出すのならば2015年前後の話は欲しい。しかし、なぜかそこを飛ばして「10年前後」から現在へ飛んでしまう。だったら「5年ほどの周期」と言わない方がいい。

また、記事では1万ドル(1999年)、2万ドル(2017年)、3万ドル(2020年)という節目を突破した時の時価総額ランキングを表にして載せているが「5年ほどの周期で入れ替わってきた」と解説しているのだから2010年、2015年、2020年という「5年ほどの周期」で見せてほしかった。


※今回取り上げた記事「危機下の株高、IT主導~NY株、初の3万ドル 緩和マネーが一極集中

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201126&ng=DGKKZO66650140W0A121C2MM8000


※記事の評価はD(問題あり)。藤田和明編集委員と後藤達也記者への評価はDを据え置く。


※後藤記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「先進国の金利急低下」をきちんと描けていない日経 後藤達也記者
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_87.html

日経 河浪武史・後藤達也記者の「FRB資産 最高570兆円」に注文
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/03/frb-570.html

※藤田編集委員に関しては以下の投稿も参照してほしい。

「FANG」は3社? 日経 藤田和明編集委員「一目均衡」の説明不足
http://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/fang.html

改善は見られるが…日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/08/blog-post_2.html

「中国株は日本の01年」に無理がある日経 藤田和明編集委員
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/11/01.html

「カラー取引」の説明不足に見える日経 藤田和明編集委員の限界
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_37.html

東証は「4市場」のみ? 日経 藤田和明編集委員「ニッキィの大疑問」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/05/blog-post_28.html

合格点には遠い日経 藤田和明編集委員の「スクランブル」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/08/blog-post_10.html

説明に無理がある日経 藤田和明編集委員「一目均衡~次世代に資本のバトンを」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_28.html

新型肺炎が「ブラックスワン」に? 日経 藤田和明編集委員の苦しい解説
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_4.html

「パンデミック」の基準は? 日経1面「日米欧、時価総額1割減」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/11.html

「訴えたいこと」がないのが透けて見える日経 藤田和明編集委員の「一目均衡」https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/09/blog-post_74.html

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