週刊エコノミスト9月29日号に柳沢亮記者が書いた「編集後記」が気になった。記事の全文は以下の通り。
九州佐賀国際空港※写真と本文は無関係です |
【エコノミストの記事】
前号「まだまだ上がる金&貴金属」を担当した。金投資を体験するため8月中旬、金価格に連動するETF(上場投資信託)の「SPDRゴールド・シェア」を10株買った。9月8日現在、評価損益はマイナス2400円と直近はやや軟調だ。
株のおかげでちょっとだけ生活に変化が訪れた。まずは1日1回、通勤電車内で日経平均株価やETFの株価をチェック。同時に米国株や日銀の政策など、これまで以上に情報収集するようになった気がする。金価格は変動が大きくなく「毎日ハラハラ」する心配はない。
投資先の価格の変動要因を考えることは、日々世の中にアンテナを張ることにつながる。投資先は株式をはじめ国債、ETF、金、不動産など数多くあるし、今は数万円、数千円と少額から始められ、酒席を1回我慢すれば資金は捻出できる。投資ライフも悪くない。
◎ETFを買ってしまうと…
まず「ETF」を「株」と表現しているのが引っかかる。「ETF」は「株」と同じように取引所で売買できるが「株」そのものではない。「金価格に連動するETF」であれば「株」を集めたものでさえない。
「10株買った」は「10口買った」とした方が良い。「株のおかげでちょっとだけ生活に変化が訪れた」は「ETFのおかげでちょっとだけ生活に変化が訪れた」とすべきだ。
それ以上に問題視したいのが「金投資を体験」したことだ。「金」市場に関する記事を書くのならば「金投資」からは距離を置くべきだと感じる。中立性の確保が難しくなるからだ。
週刊エコノミストが「金価格の上昇を応援していく雑誌」と自らを位置付けているのならば別だ。しかし、状況次第では「金」に関して「底が見えない」などと解説するつもりならば、少なくとも担当記者は「金投資」を避けた方がいい。
実際に、特集「まだまだ上がる金&貴金属」はタイトルからも分かるように「上げ賛成」の内容になっている。足元で2000ドルを割り込んでいる状況で「1年内に3000ドル視野 輝きを増す金への『熱狂』」と煽っているのは頂けないと思っていたが、担当記者が「金投資」をしているのならば納得できる。
「投資ライフも悪くない」という考えを否定はしない。だが、記事の書き手として失うものがあることも忘れないでほしい。
※今回取り上げた記事「編集後記」
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20200929/se1/00m/020/009000c
※記事の評価はD(問題あり)。柳沢亮記者への評価も暫定でDとする。
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