大分県日田市を流れる三隈川(筑後川) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
三井住友DSアセットマネジメントの猿田隆社長は日本経済新聞の取材に応じ、「10年で運用資産30兆円をめざす」と語った。組織改革などで運用力を高め、株価指数を用いた運用も検討する。個人の資産形成意識が高まるなか「成功体験を得た投資家がさらに資金を投じる好循環がもうすぐ生まれる」とみる。中国で現地法人を立ち上げることも検討する。
三井住友DSアセットは三井住友アセットマネジメントと大和住銀投信投資顧問が経営統合して2019年4月に発足。猿田氏は20年4月に社長に就任した。長期的な目標として運用資産30兆円を掲げ、「運用で大事なのは伸びる資産を運用資産に抱えることで、10年後を見据えてその見極めをやる」と述べた。
◎肝心なことが…
「運用資産10年で30兆円」が記事の柱だ。なのに現状に関する数字がない。日経の昨年4月の記事によると「三井住友DSアセットの運用資産は約17兆円(2018年末の単純合算)」らしい。そこを抜いて記事を書けるのが悪い意味で凄い。
「運用資産10年で30兆円」を柱に据えるならば「30兆円」の意義付けも欲しい。「30兆円」を確保すれば世界でトップテンに入れるとか、国内首位が見えてくるとか。そうした情報もなく、ただ「10年で運用資産30兆円をめざす」と言われても困る。
そして「運用で大事なのは伸びる資産を運用資産に抱えることで、10年後を見据えてその見極めをやる」という毒にも薬にもならないようなコメントが出てくる。こうなると「記者は宣伝役を買って出たのか」と言いたくなる。
記事の後半部分も見ておこう。
【日経の記事】
まず力を入れるのは運用力の強化に向けた組織改革だ。複数に分かれている運用を手掛ける部署を効率化するほか、運用チームごとに生じる事務作業を集約する部門の設立を検討する。「運用者が運用だけに集中できるようにする」(猿田氏)のが狙いだ。運用成績により連動した報酬体系も検討し「専門性の高い『ブティック型』の運用体制」を目指す。
海外勢など運用各社が力を入れる指数連動の収益を目指す「パッシブ運用」について猿田氏は「信託報酬などの競争が激しく、今の状態から本格参入するのは難しい」と慎重な考えを示す。ただ、「日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)など指数を状況に応じて組み替えるような商品には活路がある」と話した。
◎漠然とした話を削って…
後半は漠然とした話が目立つ。「複数に分かれている運用を手掛ける部署を効率化する」と書いているが、どうやって「効率化する」かは不明。「専門性の高い『ブティック型』の運用体制」に関しても具体的なことは書いていない。この辺りは要らない感じがする。
そこを削って「日経平均株価と東証株価指数(TOPIX)など指数を状況に応じて組み替えるような商品には活路がある」という話を膨らませるべきだろう。そこそこの「信託報酬」を取るダメな「商品」になるとは思うが、どういう仕組みを考えているのかは気になる。
今回の記事を書いた記者は「社長取材が入ったから、とにかく何か書かないと」ぐらいの意識しかないのだろう。それが内容に反映されている。「このままではダメだ」と早く気付いてほしい。
※今回取り上げた記事「三井住友DSアセット社長『運用資産10年で30兆円』~株価指数活用を検討」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200623&ng=DGKKZO60620860S0A620C2EE9000
※記事の評価はD(問題あり)
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