筑後川の二千年橋(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
東昌樹編集長が率いる同誌は「日経グループの希望」とも言える存在だと思っている。記事内容の間違いはあるのが当然だ。ミスを責めるつもりもない。ただ、正していけばいいだけだ。
話が逸れた。問い合わせと回答を続けて見てほしい。「立命館アジア太平洋大学の出口治明学長」のインタビュー記事で「学長」が自分の大学に関して誤った説明をし、それを確認せずに記事にしてしまったという話のようだ。
【日経ビジネスへの問い合わせ】
日経ビジネス編集部 奥平力様
4月27日号に載った「スペシャルリポート~島根県雲南市で始まる地方創生の新潮流 都会の若者に『事業創造の場』を提供」という記事の中の「立命館アジア太平洋大学の出口治明学長に聞く~地方創生、面白い場所には人が集まる」という関連インタビュー記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。
「立命館アジア太平洋大学の学生数は約6000人ですが、日本人と外国人の割合は約半々です。そして、日本人学生の内訳を見ると、地元である九州出身者は3分の1にとどまります。残り3分の2はほとんど東京や大阪から集めています」
これを信じれば「立命館アジア太平洋大学」に在籍する「日本人学生」の60%超は「東京や大阪」の出身のはずです。
同大のホームページによると2019年5月1日時点の「日本人学生」は2893人で九州・沖縄出身者が占める比率は34.8%となっており「九州出身者は3分の1」とは言えます。
一方、「東京や大阪」の出身者は518人で18%に過ぎません。関東と近畿を合わせても40%程度です。「残り3分の2はほとんど東京や大阪から集めています」との説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も教えてください。
取材時に「残り3分の2はほとんど東京や大阪から集めています」と出口氏は説明したのかもしれません。ただ、大学のホームページで確認できる情報であれば、編集部に責任があると思えます。
せっかくの機会なので、本文中の「人口が再生産されない東京」という説明にも意見を述べさせていただきます。
記事中の表でも「東京では人口が再生産されない」とのタイトルを付けています。「人口が再生産される=他地域からの流入に頼らず人口を維持できるだけの出生率を保つ」との前提で考えると1.20の東京は確かに「人口が再生産され」ていません。しかし、それは全ての都道府県に当てはまります。表にある1位の沖縄でも出生率は1.89です。人口を「再生産」するためには2を若干上回る出生率が必要です。
「東京では人口が再生産されない」とすると「他の道府県では再生産されている」との印象を与えるのではありませんか。そこが引っかかりました。
問い合わせは以上です。お忙しいところ恐縮ですが「立命館アジア太平洋大学」の件は回答をお願いします。
【日経ビジネスの回答】
出口治明学長に確認したところ、ご指摘の通り「残り3分の2はほとんど東京や大阪から集めています」という発言部分は、正しくは「残り3分の2はほとんど東京や大阪など全国から集めています」でした。5月25日号において訂正させていただきます。
このような間違いが起きた以上、インタビュー記事における事実確認の工程などに改良余地があることは否めません。仕事の進め方を今一度見直し、より正確な報道ができる体制づくりを心掛けてまいります。
今後とも日経ビジネスをよろしくお願いします。
◇ ◇ ◇
「より正確な報道」でなくてもいい。今ぐらいで十分だ。しかし間違いがあれば正す姿勢はなくしてほしくない。今回、回答に時間がかかったのは「出口治明学長」がなかなか誤りを認めなかったのではないかと疑っている。誤解だといいのだが…。
※今回取り上げた記事「スペシャルリポート~島根県雲南市で始まる地方創生の新潮流 都会の若者に『事業創造の場』を提供」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/00117/00100/?P=1
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