2020年3月3日火曜日

「同日」の使い方に難あり 日経 堤健太郎記者「前田建設、不毛なTOB」

2月27日には前田建設がこの配当策を理由にTOBの期限を従来の3月4日から12日に延長したが、同日に前田道路はNIPPOとの資本業務提携の検討入りを打ち出した」と書いてあった場合、「同日」は何月何日を指すか。これが国語の試験ならば「3月12日」と答えるしかない。しかし筆者は「同日2月27日」のつもりで書いているはずだ。
那珂川(福岡市)※写真と本文は無関係です

記事を書いた日本経済新聞の堤健太郎記者には以下の内容で問い合わせを送った。

【日経への問い合わせ】

日本経済新聞社 堤健太郎様

3日の朝刊 投資情報面に載った「前田建設、不毛なTOB~利益押し上げ小さく 前田道路は対抗増配 強行してもシナジー疑問」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下のくだりです。

前田道路が特別配当で『買収のうまみ』を損なわせるカードを切り、2月27日には前田建設がこの配当策を理由にTOBの期限を従来の3月4日から12日に延長したが、同日に前田道路はNIPPOとの資本業務提携の検討入りを打ち出した

これを信じれば「前田道路」が「NIPPOとの資本業務提携の検討入りを打ち出した」のは「(3月の)12日」です。「打ち出した」と過去形になっていますが、まだ「12日」にはなっていません。「資本業務提携の検討入りを打ち出した」のは「2月27日」のはずです。しかし、記事からは「同日3月12日」と読み取るしかありません。

記事の説明は誤りと考えてよいのでしょうか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

堤様には先月に以下の内容で問い合わせを送っていますが、まだ回答を頂いていません。こちらも併せて回答をお願いします。

日本経済新聞社 堤健太郎様 桜井豪様

21日の日本経済新聞朝刊総合1面に載った「真相深層~前田道路、資産削減の奇策 配当6倍 前田建設TOBに対抗」という記事についてお尋ねします。「前田道路」が決めた今回の対抗策を「価値ある資産を流出させる『クラウンジュエル』に似ている」とした上で12版の記事では以下のように解説しています。

07年には韓国サムスン電子が米半導体大手サンディスクへの買収を画策した際に使われた。サンディスクが東芝へ生産設備の一部を売却。結果、サムスン側は買収を断念した。前田道路は配当だが、現金流出による資産縮小という点は同じだ

サンディスクが東芝へ生産設備の一部を売却」したのならば「サンディスク」にとっては「現金流出による資産縮小」とはなりません。逆に「売却」によって「現金」が入ってきます。「現金流出による資産縮小という点は同じだ」との説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

ちなみに、最終版では「現金流出による」との文言がなくなっています。誰かが誤りに気付いたのでしょう。

ただ「現金流出による」を削れば済むとは思えません。「生産設備の一部」を売却すれば「生産設備」の「資産」は「縮小」しますが、一方で現金が入ってきます。現金ももちろん「資産」です。なので単純に「資産縮小という点は同じだ」とは言えません。「前田道路は配当だが、資産縮小という点は同じだ」との説明も「問題あり」と見るべきではありませんか。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。御紙では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。「世界最強のビジネスメディア」であろうとする新聞社の一員として責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「前田建設、不毛なTOB~利益押し上げ小さく 前田道路は対抗増配 強行してもシナジー疑問
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20200303&ng=DGKKZO56293360S0A300C2DTA000


※記事の評価はD(問題あり)。堤健太郎記者への評価はDで確定させる。堤記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。

前田道路と前田建設を「親子」としていた日経がやっと軌道修正
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/01/blog-post_25.html

「現金流出による」を削った理由は? 日経 堤健太郎・桜井豪記者に問う
https://kagehidehiko.blogspot.com/2020/02/blog-post_21.html

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