のこのしまアイランドパーク(福岡市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文は以下の通り。
【日経の記事】
アサヒビールは17日、2020年からのビール系飲料の販売実績の公表方法についての記者説明会を開いた。これまでの販売数量ではなく、販売金額での公表に切り替える。ビール大手4社のシェア算出が難しくなるが、アサヒは国内のシェア競争の幕引きを図り、利益重視の販売に転換したいという。
アサヒを除く3社はビール系飲料の販売数量を公表し販売金額は開示していないため、20年1月からシェアが算出できないことになる。アサヒの塩沢賢一社長は「アサヒの勝手で申し訳ない」と釈明した。公表方法の変更は販売量の追求から脱却し、利益重視に転換したいためと説明した。
同社の試算では、ビール系飲料の市場規模は30年以降に急減するという。「今やらないと生き延びられない。社員の意識を変えるショック療法だ」(塩沢社長)という。ただ、利益を重視する社内の新たな指標は「策定中」とし、新指標ができるまで社内では販売数量を営業指標として使い続けるという。
業界内ではビール系飲料のシェアでアサヒを猛追しているキリンビールと比較されるのを避けたのではないかという指摘もある。ビール各社の販売量をもとにした19年の1~6月の推計では首位アサヒ(36.7%)をキリン(35.2%)が猛追し、1.5ポイント差と肉薄。20年には逆転する可能性もあったからだ。
◎行間を読み取ると…
記事を書いた記者は「どう考えてもシェア比較からの逃げだろ。利益重視とか言い訳が苦し過ぎる」と感じている気がする。行間から「アサヒビール」への厳しい見方が伝わってくる。
「利益を重視する社内の新たな指標は『策定中』とし、新指標ができるまで社内では販売数量を営業指標として使い続けるという」と書いたのは「『利益重視に転換』と言いながら当面は『販売数量を営業指標として使い続ける』なんておかしい」と記者が感じたからだろう。
「販売量の追求から脱却し、利益重視に転換したい」のならば、社内の評価基準を変えれば済む。「販売数量を公表」するかどうかは、情報開示の必要性の観点から考えるべきだ。
投資判断をする上で多くの市場関係者が「販売数量」を重視しているのならば、「公表」を継続するのが好ましい。「公表」するかどうかは「アサヒビール」の自由かもしれないが、記事で報じたような無理のある弁明をしているとすれば「ダメな会社なんだな」と思うほかない。
その判断材料をしっかり読者に伝えたという点でも、今回の記事は評価できる。他社の記事にも「シェアでアサヒを猛追しているキリンビールと比較されるのを避けたのではないか」という趣旨の記述はあるが、日経の記事はより踏み込んだ内容になっていると感じた。
※今回取り上げた記事「アサヒビール社長、販売量の非公表釈明 『社員へのショック療法』」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191218&ng=DGKKZO53483110X11C19A2TJ1000
※記事の評価はB(優れている)
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