2019年12月11日水曜日

「文系学部であれば名門校でも4~5割は女子学生」? 海老原嗣生氏に問う

雇用ジャーナリストの海老原嗣生氏はきちんとデータを確認して記事を書いているのだろうか。そう思わせる記事が日本経済新聞に載っていた。「昨今は、文系学部であれば名門校でも4~5割は女子学生である」と海老原氏は言う。しかし違う気がする。
のこのしまアイランドパーク(福岡市)
       ※写真と本文は無関係です

日経には以下の内容で問い合わせを送った。


【日経への問い合わせ】

雇用ジャーナリスト 海老原嗣生様 日本経済新聞社 担当者様

10日の夕刊ニュースぷらす面に載った「就活のリアル~『少子化で採用難』と嘆く前に 解決のカギは女性活躍」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

その昔は男尊女卑風潮の中で女性たちは『4大(4年制大学)行ったら就職ないよ』といわれて渋々と短大に通っていた。文学部や教育学部を除けば、男子学生の割合が9割を超える大学も少なくなかったのだ。ところが昨今は、文系学部であれば名門校でも4~5割は女子学生である

代表的な「名門校」の東京大学で見ると、女子学生比率は法学部で21%、経済学部で18%です。文学部でも27%に過ぎません。京都大学は法学部が24%で経済学部が18%。一橋大学は法学部が32%で経済学部が13%(数字はいずれも旺文社の『大学受験パスナビ』のものです)。

こうしたデータを見る限り、「文系学部であれば名門校でも4~5割は女子学生」との説明は誤りではありませんか。「名門校」であれば「文系学部」でも「女子学生」比率が「4~5割」に届かないのは普通です。記事の説明に問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

記事ではもう1つ気になりました。「かつては確かに学年人口が倍はいたが、そのうち、大学に行くのは男性ばかりであり、女性に門戸が開かれていなかった。ところが現在は、人口こそ半分になれ、男女が機会均等になりつつある」と海老原は記しています。しかし、見てきたように東大、京大などの「名門校」では「女子学生」比率が低く、理系ではさらに差が大きくなります。となると、上位層に関しては全体として男子学生が「女子学生」よりも優秀だと判断できます。

女性活躍をしっかり推進している企業は、それほど人材難にはなっていない。一方、男性偏重を変えられなかった企業は、より強く人手不足にさいなまされている」と海老原様は訴えています。だから「男性偏重」を改めろとの趣旨でしょうが、「いわゆるターゲット校」を「名門校」に絞った場合、新入社員の男性比率が高くなるのは自然な流れだと思えます。

問い合わせは以上です。回答をお願いします。日経では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。担当者様は「世界最強のビジネスメディア」であろうとする新聞社の一員として責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「就活のリアル~『少子化で採用難』と嘆く前に 解決のカギは女性活躍
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20191210&ng=DGKKZO53155560Q9A211C1EAC000


※記事の評価はD(問題あり)。海老原嗣生氏への評価も暫定でDとする。

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