2019年8月7日水曜日

「岩石理論」の岩は「デフレ期待」と黒崎亜弓氏は解説するが…

週刊エコノミスト8月13・20日合併号の「にわかに高まる財政拡大論~MMTのケルトン教授が来日 保守・左派・リフレ派相乗り」という記事は興味深く読めた。MMTを取り上げた最近の記事の中ではトップクラスの出来ではないか。筆者であるジャーナリストの黒崎亜弓氏にも能力の高さを感じる。
善応殿(仙台市)※写真と本文は無関係です

ただ、関連のインタビュー記事に出てくる「岩石理論」に関する説明は引っかかった。エコノミストには以下の内容で問い合わせを送っている。

【エコノミストへの問い合わせ】

黒崎亜弓様  週刊エコノミスト編集長 藤枝克治様

8月13・20日合併号「インタビュー 浜田宏一・内閣官房参与 『MMTは極端だが、財政拡大の議論に貢献した』」という記事についてお尋ねします。記事では「岩石理論」について以下のように説明しています。

リフレ派は、金融緩和が物価の急騰を招くという批判を、『坂にある大きな岩=デフレ期待は動かそうとしてもなかなか動かないが、一度転がり出したら止まらない。だから動かさない方が良いのだ』という意味で岩石理論と呼ぶ

坂にある大きな岩=デフレ期待」だとすると「一度転がり出したら」急速に「デフレ」が進行するはずです。しかし「岩石理論」は「金融緩和が物価の急騰を招くという批判」だとも書いています。だとすると「一度転がり出したら止まらない」のは「インフレ」でなければ成立しません。

坂にある大きな岩=デフレ期待」との説明は「坂にある大きな岩=インフレ期待」の誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。御誌では読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。読者から購読料を得ているメディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇


追記)結局、回答はなかった。


※今回取り上げた記事「にわかに高まる財政拡大論~MMTのケルトン教授が来日 保守・左派・リフレ派相乗り
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20190820/se1/00m/020/047000c


※記事の評価はD(問題あり)だが、「岩石理論」に関する部分を除けばB(優れている)に当たる。黒崎亜弓氏への評価は取りあえずBを維持する。黒崎氏に関しては以下の投稿も参照してほしい。

特集「統計の泥沼」で週刊エコノミスト黒崎亜弓記者に高評価
https://kagehidehiko.blogspot.com/2019/02/blog-post_27.html

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