2019年6月14日金曜日

読むに値しない日経のセブンイレブン社長インタビュー記事

14日の日本経済新聞朝刊総合2面に載った「セブン、24時間『オーナー判断に』 永松社長に聞く ポイント還元で食品ロスを削減」 という記事は「読んで損した」と感じさせる内容だった。
久留米市の千光寺(あじさい寺)
     ※写真と本文は無関係です

まず「セブン、24時間『オーナー判断に』」をメインの見出しにしているのが苦しい。日経では「24時間営業見直し、『最終判断はオーナーに委ねる』 セブン社長」という記事を4月25日付で出している。これは「行動計画を発表した」時の会見の内容を伝えるものだ。同じ内容の発言が今回のインタビューでも出てくるのは仕方ないが、それをそのまま見出しに使って恥ずかしくないのか。

24時間」問題に関して今回どう発言しているのか記事の中身を見てみよう。

【日経の記事】

24時間営業への批判に伴う出店抑制や、実質的な値引き販売の検討など、コンビニエンスストアが転機を迎えている。セブン―イレブン・ジャパンの永松文彦社長は日本経済新聞社の取材に応じ営業時間の短縮は「フランチャイズチェーン(FC)加盟店のオーナーに委ねる」とした。社会や消費者の変化に伴い需要を掘り起こすことがさらに重要になると訴えた。

 永松社長が強調したのは加盟店のてこ入れだ。人手不足に伴う人件費の高騰と、販売期限を過ぎた食品などの廃棄に伴う損失が加盟店の収益を大きく圧迫する。

今年2月には大阪府東大阪市の加盟店オーナーが営業時間の短縮を強行し、24時間営業を巡る問題も表面化。経済産業省がコンビニ大手に対し、人手不足などの是正に向けた行動計画を作るよう求め、各社が4月に発表する事態に至った。

対応策のひとつとしてセブンイレブンが始めた営業時間短縮の実証実験にFC加盟店約40店が参加している。このほか約200店が参加を希望しているという。

実験期間はまず3カ月間(最大6カ月間)で、永松社長はこれからは「売り上げや利益への影響、店舗運営作業の検証に入る」と話す。実験の結果を営業時間短縮を希望する店舗への経営指導の材料としても活用する。

24時間営業を巡っては、不利益を被っている加盟店側からの見直し要請を本部が一方的に拒否した場合、本部は「独占禁止法違反の可能性は排除できない」とする見解を公正取引委員会が示した。永松社長も「営業時間の短縮はテストをしてもらった上で判断はオーナーに委ねる」と話した。


◎これだけ?

「(これから)売り上げや利益への影響、店舗運営作業の検証に入る」「営業時間の短縮はテストをしてもらった上で判断はオーナーに委ねる」--。「24時間営業」に関して「セブン―イレブン・ジャパンの永松文彦社長」のコメントはこれだけだ。

目新しい発言をしているのならば2つでもいい。しかし、そうしたものは何もない。なのに「24時間営業」の話は切り上げて「実質的な値引きとなるポイント還元策」に話を移し、薄く広く内容を紹介している。

最終判断はオーナーに委ねる」ことは分かっているし、読者に伝えてから2カ月近くが経っている。その後に「永松社長に聞く」のならば、何をどう語らせるのか。そこが腕の見せ所だが、腕を見せようという意欲さえ感じられない。

ちなみに週刊ダイヤモンド6月1日号の「インタビュー~永松文彦(セブン-イレブン・ジャパン社長)」という記事では「本部に実験参加を希望すると伝えても、まともに取り合ってもらえず門前払いをされたと、複数の加盟店が証言しています」「時短実験に参加できると決まった加盟店でも、深夜の荷受けのため従業員を1人置くよう本部から要求されると、従来ワンオペの店は時短のメリットがありません」などとかなり突っ込んだ質問をしている。

そうしたインタビュー記事が先行して世に出ているのに、遅く出す側の日経が今回のような内容では「やる気がない」と言われても仕方がない。

やはり、読むに値しないインタビュー記事と評価するしかない。


※今回取り上げた記事「セブン、24時間『オーナー判断に』 永松社長に聞く ポイント還元で食品ロスを削減
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190614&ng=DGKKZO46057280T10C19A6EA2000


※記事の評価はD(問題あり)。

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