長崎港(長崎市)※写真と本文は無関係です |
記事を見ながら具体的に指摘していく。
【日経ビジネスの記事】
格安スマホ育成に向け“援軍”を送る総務省だが格安スマホを取り巻く状況は急変している。
調査会社のMM総研によると国内の格安スマホ回線数は18年9月末時点で1202万件。前年同期に比べ28.7%増にとどまった。年4~7割のペースで伸びた過去数年の勢いはみられない。
苦戦の要因は携帯大手のサブブランドを通じた安値攻勢だ。ソフトバンクが展開する「ワイモバイル」は17年には約200万件といわれてきた契約回線数が18年秋ごろに約400万件と、短期間で倍増した。KDDIが傘下の通信会社を通じて提供する「UQモバイル」も、大量のテレビ広告などを投じるなどしてシェアを急拡大させている。
◎「苦戦の要因」と言える?
まず「格安スマホを取り巻く状況は急変している」が苦しい。「格安スマホ回線数」が「28.7%増」で「年4~7割のペースで伸びた過去数年の勢いはみられない」と言うが、3割近い伸びは維持している。しかも、この数字は約半年前の「18年9月末時点」のものだ。それで「状況は急変している」と言われて困る。
さらに問題があるのが「苦戦の要因」だ。「携帯大手のサブブランドを通じた安値攻勢」を「28.7%増にとどまった」理由にするのは無理筋だ。「MM総研」は「国内の格安スマホ回線数」に「KDDIが傘下の通信会社を通じて提供する『UQモバイル』」を含めている。
「UQモバイル」が「大量のテレビ広告などを投じるなどしてシェアを急拡大させている」のならば、それは「国内の格安スマホ回線数」に反映される。仮に他の「格安スマホ」の契約を奪っているだけだとしても、「格安スマホ」の「苦戦の要因」にはなり得ない。
記事には「携帯大手が格安スマホ市場も牛耳る」というタイトルが付いた表も載っている。ここでは「ワイモバイル (ソフトバンクのサブブランド)」も「格安スマホ」に含めている。この前提で言えば「ワイモバイル」の契約数が伸びていることも「格安スマホ」の「苦戦の要因」ではなくなる。
記事からは「格安スマホ」には「ワイモバイル」や「UQモバイル」を含むと読み取るしかない。しかし「苦戦の要因」は「携帯大手のサブブランド」を除く「格安スマホ」について述べているのだろう。これでは説明として成り立たない。
以下の説明も引っかかった。
【日経ビジネスの記事】
敵は別方面からも襲来している。NTTドコモが19年6月をめどに値下げを実施する方針。他の大手も対応策を講じる可能性が高く、「体力勝負に突入する」(ケイ・オプティコム)見通しだ。
◎「別方面」と言うには…
「敵は別方面からも襲来している」と高槻記者は言う。これを受けて見出しを「格安スマホに『前門の虎、後門の狼』」としたのだろう。しかし「携帯大手のサブブランド」も「携帯大手」が手掛けており、「別方面」と呼ぶのはやや無理がある。それを「前門の虎、後門の狼」とすると、さらに苦しくなる。
※今回取り上げた記事「時事深層 INDUSTRY~減速する格安スマホに『前門の虎、後門の狼』」
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/depth/00064/?P=1
※記事の評価はD(問題あり)。高槻芳記者への評価も暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。高槻記者に関しては以下の投稿も参照してほしい。
給与前払いは「錬金術」? 日経ビジネス「貧テックって何だ?」
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_6.html
「持分法適用会社=連結対象外」は日経ビジネスの癖?
https://kagehidehiko.blogspot.com/2018/05/blog-post_87.html
0 件のコメント:
コメントを投稿