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【日経の記事】
投資信託などで運用するのはどうか。預金などと異なり元本割れリスクがあるため教育資金作りになじまないとの声は根強いが、FPの深野康彦氏は「積立資金の2割程度を運用に回すのが妥当」と話す。「教育費が想定以上にかかる場合に備えて資産を増やすことも考えたい」という。
図Cは毎月の積立資金のうち8割を定期預金、残り2割を運用に回したときのイメージ。運用先は国内外の株式や債券に分散投資してリスクを抑えるバランス型投信を想定している。
例えば期間18年の場合、毎月の積立金額(図Bのケースと同じ約3万2000円)の2割に相当する約6500円を投信で運用。その成績によって預金を含めた全体の資産額がどう増減するか、統計学の手法を基に試算している。
運用成績がかなり好調だった場合の資産額は約890万円。これは積立資金の10割を定期預金に預けたケース(700万円)を大きく上回る。反対に運用が不調だった場合、資産額は約670万円になる。元本割れリスクは残るものの運用の効果が見てとれる。
投信はつみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)の口座を通じて購入するのが効率的だ。購入元本ベースで年40万円まで分配金・売却益が最長20年間、非課税となるためだ。
◎バランス型投信がダメな理由
個人的には「教育資金」と用途を限定してカネを貯めるのはお薦めしないが、好みの問題とも言えるので、ここでは問わない。だが「バランス型投信」は明らかに誤った選択だ。
なぜ「積立資金の2割程度を運用に回すのが妥当」なのか不明だが、取りあえず受け入れてみよう。ここでは「無リスク資産(預金、国債)8割、リスク資産2割が妥当」との前提で話を進める。
「バランス型投信」で運用すると「国内外の株式や債券に分散投資」するので、ここにも国債が紛れ込んでしまい無リスク資産の比率が上がってしまう。仮に「バランス型投信」に占める無リスク資産の比率は5割で、これを前提に「積立資金の2割程度を運用に回すのが妥当」と判断したと考えてみよう。
この場合、最初から「無リスク資産9割、リスク資産(株式投信など)1割」にした方がスッキリする。せっかく無リスク資産の比率を決めておいたのに、「バランス型投信」で運用するとその管理が難しくなる。
また「バランス型投信」を選ぶと、極めて利回りが低い無リスク資産の部分にも信託報酬がかかってしまい、さらに利回りが低くなる。
加えて南記者は「バランス型投信」を「つみたてNISA(積立型の少額投資非課税制度)の口座を通じて購入する」よう提案している。明らかに非合理的だ。せっかくの「非課税」枠に低リターンの無リスク資産を紛れ込ませてどうする。「非課税」枠は期待リターンの高いリスク資産で埋めるべきだ。「非課税制度」の恩恵を最大限に生かそうとすれば、当然にそうなるはずだが…。
※今回取り上げた記事「教育資金の積み立て術~2割を分散型投信に」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20190330&ng=DGKKZO43076060Z20C19A3PPE000
※記事の評価はD(問題あり)。南毅記者への評価は暫定でDとする。
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