2019年1月3日木曜日

「紀元前5000年ごろ」の文献にワインが登場と週刊ダイヤモンドは言うが…

ワインが初めて文献に登場するのはいつか。週刊ダイヤモンドによると「紀元前5000年ごろ」らしい。一方、サントリーは「紀元前2000年頃」としている。どちらが正しいのか答えは見えている気もするが、週刊ダイヤモンドには以下の内容で問い合わせを送った。
仮屋湾(佐賀県玄海町)※写真と本文は無関係です

ちなみに問題の記事は「『教養としてのワイン』の著者、渡辺順子氏に、(ビジネスパーソンが)最低限身に付けるべき教養を聞いた」ものだ。なので渡辺氏の認識が間違っている可能性もかなりある。

【ダイヤモンドへの問い合わせ】

渡辺順子様 週刊ダイヤモンド 重石岳史様 小栗正嗣様 前田剛様 相馬留美様

1月12日号の特集「変わります! ニッポンの『酒』」に出てくる「ビジネスパーソンが身に付けるべきワインの教養」という記事についてお尋ねします。「教養1-ワインの歴史と宗教」では「紀元前5000年ごろ メソポタミア文明の文献にワイン醸造が登場」となっています。

一方、サントリーのホームページでは「ワインの歴史」について「ワインが初めて文献に登場したのが、紀元前2000年頃」と説明した上で以下のよう記しています。

最古の文献"ギルガメッシュ叙事詩" 紀元前2000年頃に成立したメソポタミアの英雄詩"ギルガメッシュ叙事詩"の中に『ウトナピシュティム(旧約聖書のノア)は 船大工たちに牛や羊を殺して与え、葡萄ジュース、(赤葡萄)酒、油、白葡萄酒を飲ませて、方舟をつくらせた』旨の記述があります

サントリーの説明が正しければ「メソポタミア文明の文献にワイン醸造が登場」するのは「紀元前5000年ごろ」ではなく「紀元前2000年頃」です。

世界大百科事典によると「シュメール系楔形文字の最古資料はメソポタミア南部の遺跡ウルクの第IV層で発見された絵文字に近い古拙文字で、前3100年ころに比定されている」そうです。文字の始まりがこの頃と言われているので「紀元前5000年ごろ」に「メソポタミア文明の文献」はなかったか、あってもまだ発見されていないはずです。

紀元前5000年ごろ メソポタミア文明の文献にワイン醸造が登場」という記事の説明は誤りではありませんか。問題なしとの判断であれば、どの「文献」に「ワイン醸造が登場」するのか教えてください。「ビジネスパーソンが身に付けるべきワインの教養」と見出しでも打ち出しているのですから、「ビジネスパーソン」が間違った「教養」を身に付けないためにも、誤りがあればきちんと訂正すべきです。

御誌が読者からの間違い指摘を無視し続けた平成の世も間もなく終わります。新たな時代へと踏み出す前に、これまでの悪習を断ち切ってみませんか。日本を代表する経済メディアとして間違い指摘にどう対応すべきなのか。新年を迎えたのを機に、改めて考えてみてください。

◇   ◇   ◇

追記)結局、回答はなかった。次号での訂正もなかった。

※今回取り上げた記事「ビジネスパーソンが身に付けるべきワインの教養
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/25516

※記事の評価はD(問題あり)。

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