小石川後楽園(東京都文京区) ※写真と本文は無関係です |
【日経ビジネスの記事】
無料対話アプリLINE(ライン)と損害保険ジャパン日本興亜は10月16日からスマホアプリ内で加入できる損害保険の販売を始めた。滑り出しは好調そのもので、いわゆる「友だち登録」をした人の数は3週間で460万となった。
この数は実際に保険に加入する前段階のものだが、「加入予備軍」が着々と膨らみ続ける現状に競合各社は驚きを隠さない。LINEと組んだ当の損害保険ジャパン日本興亜でさえ「損保の売り方を少し変えただけでこれほど興味を持ってもらえるとは」と話す。
◎契約実績をなぜ見せない?
「『友だち登録』をした人の数は3週間で460万となった」ことを根拠に「滑り出しは好調そのもの」と武田記者は書いている。なぜ「3週間」の契約実績で語らないのか。「保険に加入する前段階」の数字で好不調を判断するのは危険だ。「友だち登録」をする人は多くても実際の契約では苦戦している可能性がかなりある。
取材に対し「LINE」が契約実績は開示しないのに「友だち登録」の数字だけを教えてくれる場合は、特にその可能性を考慮すべきだ。調べてみると、「LINEほけん」では「合計70万名さまに『スマホのおまもり』『自転車のおまもり』『年越しのおまもり』をプレゼント」するキャンペーンをやっているようだ。
この「無料でもらえる保険おまもりシリーズ」が「友だち登録」の原動力となっていても不思議ではない。だとすると「460万」という数字も割り引いて考える必要がある。その辺りも十分に考慮した上で「滑り出しは好調そのもの」と武田記者は書いたのか。「LINE」側に上手く丸め込まれたのではないかとの疑念は拭えない。
「『加入予備軍』が着々と膨らみ続ける現状に競合各社は驚きを隠さない」と書きながら「LINEと組んだ」「損害保険ジャパン日本興亜」のコメントを持ってくるのも引っかかる。「損害保険ジャパン日本興亜」が提携相手を持ち上げるのは当然だ。
この記事には第三者のコメントは全く出てこない。「競合各社は驚きを隠さない」という情報も「LINE」や「損害保険ジャパン日本興亜」が武田記者に吹き込んだのではないかと勘繰りたくなる。
武田記者に関しては「LINE」や「損害保険ジャパン日本興亜」の側に立った書き手と見た方が良さそうだ。「LINEほけん」に関して武田記者は「保険料も1日100~500円と安く抑え、若者を意識して『敷居』を極力低くする工夫をほどこしている」とも書いている。
だが「1日100~500円」が安いと言える根拠は示していない。例えば「同じ保障内容の他社の保険と比べて2~3割安い」といった情報があれば納得できる。しかし「1日100~500円」だけでは判断できない。この辺りの説明にも、武田記者の書き手としての姿勢が垣間見える。
※今回取り上げた記事「時事深層 COMPANY~金融、若者巻き込み『収穫』へ LINEほけん、登録は3週間で460万人」
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/depth/110601277/?ST=pc
※記事の評価はD(問題あり)。武田安恵記者への評価もDを据え置く。
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