2018年9月8日土曜日

串カツ田中は「4つの非常識で快進撃」? 日経ビジネスに注文

日経ビジネス9月10日号に載った「注目企業(Vol.009)4つの非常識で快進撃~串カツ田中ホールディングス (居酒屋チェーン)」という記事は「串カツ田中」の特徴を分かりやすくまとめていて興味深く読めた。ただ「4つの非常識で快進撃」かどうかは怪しい。
道の駅 大和のオートキャンプ場(佐賀市)
          ※写真と本文は無関係です

4つの非常識」を順に検証してみよう。

◇非常識1~新人だらけの店を作る

新人だらけの店」を作って教育するのは新しい試みだとは思う。記事では以下のように書いている。

4月、東京・日本橋界隈に、一風変わった居酒屋がオープンした。串カツ田中の小伝馬町研修センター店だ。ぱっと見では通常の店との違いは分かりづらいが、この店で働くスタッフのほぼ全員が、新卒や中途で入社してきたばかりの新入社員なのだ

今年の「4月」から始めた試みが「快進撃」を支えているとの分析は苦しい。「今春、20人の新卒の社員が巣立っていったが、離職者はゼロ」と言ってもまだ半年だ。これまでの「快進撃」の立役者とは言い難い。


◇非常識2~居酒屋なのにファミリー狙い

これは「快進撃」の理由にはなるだろう。ただ、それほど珍しい話なのかとは思う。


◇非常識3~業界初のほぼ全店全席禁煙

これが最も苦しい。記事でも「6月1日からほぼ全店で始めた『全席禁煙』化」と書いている。まだ3カ月しか経っていないのに、これまでの「快進撃」を支えた理由に挙げるのは無理筋だ。しかも、業績面でプラスの効果が出ているとも言えない。記事では以下のように説明している。

既存店売上高は、6月に前年同月比97.1%に下がったが、7月には101.9%に回復。『禁煙化が売り上げにどう影響するか見通すにはまだ時間がかかる』(経営戦略部長の坂本壽男取締役)が、貫社長の決意は揺らがない

これだと、前向きに評価するとしても「業績面で明らかなマイナス要素ではない」と言うのが精いっぱいだろう。


◇非常識4~ソースだけで30回刷新

非常識2」と似ている。「快進撃」の理由にはなるかもしれないが、「非常識」と言うほど珍しくはない。

ちなみに「串カツ田中ホールディングス貫啓二社長に聞く~成功の秘訣は『不安経営』」というインタビュー記事を関連記事として載せており、そこで貫社長は以下のコメントを残している。

先日、昔好きだったラーメン店に20年ぶりに行きました。『変わらぬ味』を売りにしている店ですが、残念ながらおいしいと思えなかった。こちらの味覚が変化しているからです。「『変わらない』と言われるためには、変わり続けることが大事だ」という、人気ラーメン店「一風堂」創業者の河原成美さんの名言を、私は座右の銘にしています。

◇   ◇   ◇

だとすると、「非常識4」の発想は「人気ラーメン店『一風堂』創業者の河原成美さん」から得たのだろう。このことも「非常識4」がある意味で飲食業界の「常識」だと教えてくれている。


※今回取り上げた記事「注目企業(Vol.009)4つの非常識で快進撃~串カツ田中ホールディングス (居酒屋チェーン)
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/022600032/090400009/?ST=pc


※記事の評価はC(平均的)。吉岡陽記者への評価はD(問題あり)からCへ引き上げる。

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