2018年8月19日日曜日

「中間価格帯は捨てる」で日経ビジネス東昌樹編集長に注文

日経ビジネス2018年8月20日号の「編集長インタビュー~中間価格帯は捨てる 杉江俊彦氏 三越伊勢丹ホールディングス社長」という記事を「中間価格帯は捨てる」という見出しに釣られて読んだ。しかし、「中間価格帯」がどの辺りを指すのかという肝心の情報は漠然としている。当該部分のやり取りは以下の通り。
大江天主堂(熊本県天草市)※写真と本文は無関係です

【日経ビジネスの記事】

問 高額品の販売は、株高や訪日外国人の増加で好調なようですね。消費はどのように変化しているのでしょうか。

答 二極化した購買行動が、世界的に出てきています。何か買うならいいモノを買う。いいものでなければできるだけ安くと考える人が増えています。

中間価格帯で勝負をしても、もうダメです。昔、売れていたものが本当に売れなくなっている。例えばかつて若い女性が買うハンドバッグは5万~6万円ぐらいでした。だけど今の若い方は、もうそんなのは全然、見向きもしません。1000円でもいいから安いものを買う一方、おしゃれをしたいときは高いものを買います。

高いものを買えない人は、『メルカリ』や『ヤフオク!』で中古のブランド品でいいものを買う。そういう消費構造になってきました。ここはどんどん加速していくので、中間価格帯にしがみついていると、我々もどんどんシュリンクする。だから上の価格帯をきちんとやろうとしています。

問 徹底的にやる、中間はもう捨てるという感じですね。

答 中間はダメですね、そこは捨てていかないといけません



◎で、「中間価格帯」とは?

中間はもう捨てる」のは分かった。問題は「中間価格帯」が具体的にどの「価格帯」なのかだ。そこははっきりしない。「かつて若い女性が買うハンドバッグは5万~6万円ぐらいでした。だけど今の若い方は、もうそんなのは全然、見向きもしません」というコメントから、ハンドバッグで「5万~6万円ぐらい」は「中間価格帯」に入るのは分かる。

だが4万円や7万円が「中間価格帯」と言えるのかは不明だ。ハンドバッグ以外に関しては何の手掛かりもない。見出しにも使っているのだから、しっかり書いてほしかった。

ちなみに、伊勢丹オンラインストアでハンドバッグを見ると、約6万円の商品は460品目31位になる。「上の価格帯をきちんとやろうとしています」「中間はダメですね、そこは捨てていかないといけません」という杉江社長の言葉を額面通りに受け取れば、今売っている460品目のうち430品目は外す必要がある。

中間価格帯」が6万円より上を含む可能性もあるので、外すべき商品はさらに多くなるかもしれない。「中間価格帯は捨てる」というのは本気なのかなとは思う。

それに、そこまで方針が決まっているのに、1万円以下の商品も含めて中低価格帯を今でもしっかりやっているのが解せない。「中間価格帯にしがみついていると、我々もどんどんシュリンクする」のならば、さっさと外せばいいのに、なぜ不必要な430品目を売り続けているのか。

その辺りまで斬り込むのは難しいかもしれないが「中間価格帯をどう定義しているのですか」「中間価格帯は今すぐに捨てると考えていいのですか。すぐではないとしたら、時間がかかる理由は何ですか」ぐらいは聞いてほしかった。

聞き手の東昌樹編集長は「傍白」という解説記事の中で「柱となるのは『超高級路線』の徹底」とも書いている。しかし、三越伊勢丹が捨てる「中間価格帯」も、力を入れる「上の価格帯」も具体性に欠けるので、「超高級路線」をイメージしにくい。

東編集長は記事の書き方に関して記者や副編集長を指導する立場だ。まずは自らきちんと手本を示してほしい。


※今回取り上げた記事「編集長インタビュー~中間価格帯は捨てる 杉江俊彦氏 三越伊勢丹ホールディングス社長
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/257971/081300155/?ST=pc


※記事の評価はC(平均的)。東昌樹編集長への評価はB(優れている)を維持する。東編集長に関しては以下の投稿も参照してほしい。

コメントの主は誰? 日経ビジネス 東昌樹編集長に注文
http://kagehidehiko.blogspot.com/2017/12/blog-post_16.html

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