小長井駅(長崎県諫早市)※写真と本文は無関係です |
【日経ビジネスの記事】
(2012年12月)当時の本誌主張は以下の通りだ。
日本の個人消費が伸び悩む原因の一つは諸外国に比べ富裕層の消費が少ないことにある。
しかし今、技術革新などを背景に富裕層向けの新ビジネスが続々勃興しており、富裕層消費が活性化する兆しが見えてきた。
年収1500万円以上の世帯の消費が3割伸びれば、一般消費者が財布のひもを締めていても景気は回復し、名目GDP(国内総生産)が1%上昇する。
だが、あれから5年余り、現実は、年収1500万円以上の世帯の家計消費は11年以降、10兆円前後でほぼ横ばいのまま。人口減少で富裕層が減っているのなら致し方ないが、現在、約56万人いる給与年収1500万円以上の人は09年は約45万人だった。富裕層はむしろ増えている(国税庁調べ)。
◎間違いではないが…
記事を作る上でデータを自分たちの都合に合わせて使いたくなる気持ちは分かる。だが、限度がある。今回はご都合主義が過ぎる。
「年収1500万円以上の世帯の家計消費は11年以降、10兆円前後でほぼ横ばいのまま」と言うが、記事に付けたグラフを見ると11年は9兆円弱で直近の16年が「10.8兆円」。約2割増だ。「富裕層」の人数増加とほぼ見合っている。
9兆円も11兆円も「10兆円前後」と見れば確かに「ほぼ横ばいのまま」だが、かなり苦しい。それに、この基準に従えばグラフで示した2000年以降はずっと「ほぼ横ばいのまま」だ。「11年以降」で区切る意味は乏しい。
人数は「09年」と比べるのに、「家計消費」は「11年以降」で見るのも感心しない。比較する期間を揃えるべきだ。「あれ(2012年12月の特集)から5年余り」と振り返るならば13年以降の数値を取り上げるのが適当かもしれない。
※今回取り上げた特集「富裕層はどこへ行った?」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/NBD/15/special/061201003/?ST=pc
※特集の評価はD(問題あり)。
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