2018年4月18日水曜日

スタバの対応どこが「黒人差別」? 日経 平野麻理子記者に注文

18日の日本経済新聞夕刊総合面のトップを飾った「米スタバ、全店半日休業 人種問題研修で 黒人客とトラブル、不買運動に」という記事は分かりにくかった。筆者の平野麻理子記者(ニューヨーク支局)の説明通りならば、黒人差別に当たる感じはしない。現地では大きな問題になっているようなので、多くの米国人にとってスタバの対応は「人種差別的」に見えるのだろう。平野記者はせっかくニューヨークにいるのだから、「なぜこれが米国では人種差別的と取られるのか」を米国事情に疎い日本の読者にも分かるように解説してほしかった。
片の瀬公園の桜と筑後川橋(福岡県久留米市)
           ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

米スターバックスは17日、5月29日の午後に全米8000店舗以上を休業し、人種問題についての店員研修を実施すると発表した。スタバでは、今月12日に東部ペンシルベニア州フィラデルフィアの店舗で待ち合わせをしていた黒人男性2人が警察に通報され、逮捕された。スタバの対応に「人種差別的だ」との批判が高まっていた。

 逮捕された2人の黒人男性は商品を購入せずに、店内で待ち合わせをしていた。警察によると、店員がトイレの利用を断ったところ、男性客が拒否したため、店員が「不法侵入」だとして警察に通報したという。2人は警察署に連行された後、解放された。

ネット上には居合わせた客が撮影したと思われる映像が拡散し、消費者の間には反発が広がった。若者を中心に「ボイコット・スターバックス」のハッシュタグでネット上の不買活動が始まったほか、一部の実店舗でもデモ活動が起きた。

研修は17万5000人の従業員が対象で、全米の全直営店を午後の半日閉めて実施する。スタバによると、店舗が全ての人にとって居心地の良い場所とするため、研修は暗黙の偏見や人種差別を防ぐ内容となるという。

ケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は「人種偏見の研修のため店を閉めることは、我々の会社の全員が地元社会に対して貢献する道の第一歩にすぎない」と再発防止を約束した。

米国のカフェや飲食店では、商品を購入していない人のトイレ利用は禁止されていることが多い。トイレに外からカギがかかっている場合は、店員から暗証番号を聞く必要がある。


◎「不法侵入」を通報したら「差別」?

記事を読む限り、今回の件で批判されているのは「黒人男性2人」を逮捕した警察ではなく、「通報した」スタバだと取れる。警察が「不法侵入」で逮捕して、その判断が誤りでなかったのならば、スタバの対応にも問題はなさそうに思える。

福岡県立久留米高校(久留米市)※写真と本文は無関係です
同じような行動をしていた白人を許したのに黒人の時だけ警察に通報したのならば「人種差別的」だが、そうした説明はない。

記事によると「米国のカフェや飲食店では、商品を購入していない人のトイレ利用は禁止されていることが多い」という。ならば、スタバが「トイレの利用を断った」ことに問題はなさそうだ。「トイレの利用を断ったところ、男性客が拒否した」(日本語としてやや不自然だが、あくまでトイレを利用すると言い張ったか、強引にトイレを利用したと取れる)のならば、非難されるべきは「男性客」だ。

米国で「消費者の間には反発が広がった」上に、スタバのCEOが「再発防止を約束した」のならば、上記のような考え方は「米国の事情に疎い日本人の浅い物の見方」なのだとは思う。だからこそ、平野記者にはしっかり「米国の事情」を説明してほしかった。

ついでに言うと、記事に付けた写真も分かりにくい。「ペンシルベニア州のスタバの前にはプラカードを抱えて抗議活動する人が集まった(16日)=ロイター」という説明文が付いているものの、集まった人はほとんど映っておらず「BLACK LIVES MATTER」と書かれた「プラカード」が目立つだけ。この写真を使うのならば、せめて「BLACK LIVES MATTER」の訳は付けてほしい。


※今回取り上げた記事「米スタバ、全店半日休業 人種問題研修で 黒人客とトラブル、不買運動に
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180418&ng=DGKKZO29518680Y8A410C1EAF000


※記事の評価はC(平均的)。平野麻理子記者への評価も暫定でCとする。

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