そよ風ホール(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
記事の全文と問い合わせの内容は以下の通り。
【日経の記事】
石油元売り最大手のJXTGエネルギーは4日、日本国内の製油所事業でベトナム国営石油会社のペトロリメックスと提携すると発表した。2019年4月をメドに合弁会社を設立する予定で、ベトナムにガソリンなどの石油製品の輸出を始める。少子化などの影響で国内需要が減少するなかで、海外への販路を確保する。
JXTGの麻里布製油所(山口県和木町)の協業に関わる合弁会社にペトロリメックスが一部出資する。
出資比率などは今後詰めるが、製油所運営はJXTGが引き続き担う。
JXTGは16年にペトロリメックスに約8%を出資し、ベトナムでの石油販売事業で提携。麻里布製油所は日量12万バレルの原油処理能力を持つが、経済成長でエネルギー需要が伸びるベトナムに石油製品を積極的に輸出していく。
【日経への問い合わせ】
朝刊企業2面の「JXTG、ベトナムに石油輸出 現地国営と提携」という記事についてお尋ねします。「石油輸出」という場合、一般的には「原油の輸出」を意味します。しかし、記事には「ベトナムにガソリンなどの石油製品の輸出を始める」「ベトナムに石油製品を積極的に輸出していく」などと書いてあり、見出しと食い違っています。
見出しの「ベトナムに石油輸出」は「ベトナムに石油製品輸出」の誤りではありませんか。例えば、木材から紙パルプが作られるとしても、「紙パルプの輸出」を「木材の輸出」とは言わないはずです。問題ないとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。
御紙では、読者からの間違い指摘を無視する対応が常態化しています。クオリティージャーナリズムを標榜する新聞社として、掲げた旗に恥じない行動を心掛けてください。
◇ ◇ ◇
ついでに接続助詞「が」の使い方について指摘しておきたい。
「出資比率などは今後詰めるが、製油所運営はJXTGが引き続き担う」「麻里布製油所は日量12万バレルの原油処理能力を持つが、経済成長でエネルギー需要が伸びるベトナムに石油製品を積極的に輸出していく」と、逆接ではない「が」が続けて出てくる。好ましくない使い方とされているので避けた方が良い。
改善例を示してみる。
【改善例】
JXTGの麻里布製油所(山口県和木町)の協業に関わる合弁会社にペトロリメックスが一部出資する。出資比率などは今後詰める。製油所運営はJXTGが引き続き担う。
JXTGは16年にペトロリメックスに約8%を出資し、ベトナムでの石油販売事業で提携。麻里布製油所は日量12万バレルの原油処理能力があり、経済成長でエネルギー需要が伸びるベトナムに石油製品を積極的に輸出していく。
◇ ◇ ◇
直してみると、逆接ではない「が」は使わない方が読みやすく感じる。文字数も増えていない。
さらについでに言うと「ベトナムに石油輸出」という話なのに、どの程度の輸出になるのか具体的に触れていないのが残念だ。JXTGが教えてくれないのだとは思うが、だとすると「ベトナムに石油輸出」を柱に据えるのは苦しい。
記者にしてみれば、自分は「日本国内の製油所事業でベトナム国営石油会社のペトロリメックスと提携する」という話を柱にして書いていると言うかもしれない。ただ、見出しから判断すれば柱はやはり「ベトナムに石油輸出」だ。
※今回取り上げた記事「JXTG、ベトナムに石油輸出 現地国営と提携」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180405&ng=DGKKZO28993650U8A400C1TJ2000
※見出しも含めて記事の評価はD(問題あり)。
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