今川と菜の花(福岡県行橋市)※写真と本文は無関係です |
記事を見ながら「なぜ参考にしてはダメか」を論じたい。「相場変調」にどう備えるべきかについて、北沢所長はまず以下のように解説している。
【日経の記事】
積立型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)などを使って10年単位の長期で投資信託を積み立てているなら、特に恐れる必要はない。「株価下落は投信を安値で購入できる好機」と前向きに受け止めたい。
一例として「100年に一度の暴落」と言われたリーマン危機の前から、日経平均連動の投信を毎月末に1万円ずつ積み立てたケースを見てみよう(図A)。日経平均は2007年初の水準を回復するのに約8年かかったが、投資損益は6年でプラスに浮上した。
積み立て投資のメリットは、相場の低迷時には多くの口数の投信を安く買えること。下落過程で投信の平均購入単価は下がり、少しの相場上昇で利益が出るようになる。図Aの試算では、昨年末までの11年間に132万円を積み立てて127万円の利益が出た。
◎なぜ「バブル崩壊後」で見ない?
まず「リーマン危機の前から、日経平均連動の投信を毎月末に1万円ずつ積み立てたケース」で見るのがダメだ。こういう場合は「過去最悪のケース」で見ないとご都合主義の誹りを免れない。北沢所長もその辺りを意識しているのか「『100年に一度の暴落』と言われたリーマン危機」などと、それらしく書いている。
しかし、下げのきつさと期間の長さでは90年代のバブル崩壊がはるかに上回る。10年以上かけて日経平均は最高値の約4分の1の水準に沈んだ。「(株価下落を)特に恐れる必要はない」と言い切るならば、89年末に積み立て投資を始めた場合で見るのが筋だ。
それを、下げ幅も小さく調整期間も短いリーマンショック後で試算している。明らかに問題ありだ。
また、「投資損益は6年でプラスに浮上した」と言うが、5年もマイナスで推移したのならば「恐れる必要」は十分にある。しかもこれは「リーマン危機の前(2007年1月)から」積み立てを始めた場合だ。その前から高値で積み立てをしていた場合、傷はもっと深くなる。「相場が下がっても積み立て継続」という選択を否定はしないが、「恐れ」はしっかり持っておくべきだ。
※「(2)資産の分散」へ続く。
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2018/03/quick_10.html
※今回取り上げた記事「相場変調、守りの運用探る 為替ヘッジ米国債に分散」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180310&ng=DGKKZO27913280Z00C18A3PPE000
※記事の評価はD(問題あり)。北沢千秋QUICK資産運用研究所長への評価もDを据え置く。北沢所長に関しては以下の投稿も参照してほしい。
日経 北沢千秋編集委員への助言(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_30.html
日経 北沢千秋編集委員への助言(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_11.html
日経 北沢千秋編集委員への助言(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/06/blog-post_38.html
説明下手が過ぎる 日経 北沢千秋編集委員の記事(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_62.html
説明下手が過ぎる 日経 北沢千秋編集委員の記事(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_15.html
説明下手が過ぎる 日経 北沢千秋編集委員の記事(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2015/10/blog-post_1.html
日経 北沢千秋編集委員「一目均衡」での奇妙な解説(1)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/02/blog-post_81.html
日経 北沢千秋編集委員「一目均衡」での奇妙な解説(2)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/02/blog-post_17.html
日経 北沢千秋編集委員「一目均衡」での奇妙な解説(3)
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/02/blog-post_18.html
生存者バイアス無視の日経「定説覆す?アクティブ投信」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/11/blog-post_23.html
参考にするな! 北沢千秋QUICK資産運用研究所長の記事
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_46.html
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