2018年1月3日水曜日

年始とは言え…ほぼ中身ゼロ 日経の企業ニュース記事

3日の日本経済新聞朝刊企業面に載った「EV充電設備のシステムを強化 日本ユニシス」というベタ記事は、ほぼ中身がない。短い記事なので全文を見てみよう。
浅草寺(東京都台東区)※写真と本文は無関係です

【日経の記事】

日本ユニシスは自動車向けの情報基盤の事業を強化する。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の充電ステーションの構築を支援するシステムについて、会員制充電サービスを検討している自動車メーカーに売り込む。

「スマートオアシスforチャージング」と呼ぶ同社が2009年から提供しているクラウド型のシステムを強化。充電用装置を利用するための利用者認証や課金決済を請け負い、ネットで利用者に装置の位置情報、充電装置の空き情報を提供する仕組みを備える。


◎具体的には何を「強化」?

素直に受け止めれば、この記事では日本ユニシスが「自動車向けの情報基盤の事業を強化する」のがニュースだ。だが、「強化」の中身が分かりにくい。「クラウド型のシステムを強化」とも書いているが、これでもかなり漠然としている。

充電用装置を利用するための利用者認証や課金決済を請け負い、ネットで利用者に装置の位置情報、充電装置の空き情報を提供する仕組みを備える」というのが「強化」の中身かもしれない。今の「クラウド型のシステム」にはない「仕組みを備える」ようにするのだろうか。これも微妙だ。既に「仕組みを備え」ているとも取れる。

今はない「仕組み」を「クラウド型のシステム」に追加するとしても、それだけで「自動車向けの情報基盤の事業を強化する」と打ち出すのは、大げさすぎる。しかも、いつ「強化する」のかも謎だ。

自動車向けの情報基盤の事業を強化する」話を柱にするのならば、この事業がどういう中身で、どの程度の規模かも情報として欲しい。その上で人員、設備、品ぞろえなどで「強化」の中身を具体的に述べるべきだ。今回のような内容では、記事にする意味がない。

事情は分からなくもない。「年末年始用の原稿を出せ」と求められて、記者が無理に捻り出した結果だとは思う。だからと言って、この内容で許されるわけではない。

日経(特に企業報道部)の幹部には「企業ニュースがない時の紙面をニュース記事で埋めようとするのは、そろそろ終わりにしませんか」と提案したい。企画モノの記事で埋めればいいではないか。今回のような中身のない記事を読者に届けても、誰の利益にもならない。

「粗製乱造で中身の薄い記事を量産するのが日経(特に企業報道部)の伝統だ。それを守りたい」と言うのならば話は別だが、今回の日本ユニシスの記事は「今のままではダメだ」と教えてくれている。それを日経の上層部に感じてほしい。


※今回取り上げた記事「EV充電設備のシステムを強化 日本ユニシス
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20180103&ng=DGKKZO25282950S8A100C1TJC000


※記事の評価はE(大いに問題あり)。

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