太刀洗レトロステーション(福岡県筑前町) ※写真と本文は無関係です |
記事の当該部分は以下の通り。
【日経の記事】
ドラフトで指名された選手が入団しなかったときに「入団拒否」と表現するケースがみられるが、いかがなものか。アマチュア選手の側からすると、指名されたからといって入らねばならないという義理はない。
入団しなかったとしても、本人にその気がなかっただけかもしれないし、入団の条件が合わず、交渉が不調に終わっただけのことかもしれない。「拒否」という強い調子を持つ言葉を使うと、選手がわがままを言っているようにも聞こえるから、注意が必要だ。
◎「いかがなものか」と言うならば…
「『拒否』という強い調子を持つ言葉を使うと、選手がわがままを言っているようにも聞こえるから、注意が必要だ」と言うだけで、具体的にどうすべきかは教えてくれない。また、篠山編集委員の属する日経の運動部がどう「注意」しているのかにも触れない。これは感心しない。
日経のスポーツ面で「入団拒否」という言葉を使っている例はいくつもある。共同通信の記事だけでなく自社の記事でも使っている。特に「注意」している様子も窺えない。「いかがなものか」と篠山編集委員が感じるならば、まずは日経の運動部内で議論したらどうか。「議論はしている」と言うのならば、結果としてどう「注意」しているのか記事で触れるべきだ。
ついでに記事の残りの部分にも触れておこう。
【日経の記事】
球団側による「強行指名」も、要注意の表現といえる。選手側が特定の球団以外はプロに行かないという意思を示しているにもかかわらず、その球団以外の球団が指名したときに「強行」といわれる。
だが逆指名制度などの特異なルールで行われる場合を除き、基本的にどの球団が誰を指名してもいいわけで、球団としては持てる権利を行使しただけのこと。たとえ横恋慕であれ、ふられるリスクを覚悟で指名するのは球団の自由だ。
記憶に新しい「強行指名」の例に2011年、日本ハムの菅野智之(当時東海大、現巨人)の指名がある。菅野は浪人の道を選び、1年後、巨人の指名を受けて入団した。
この逸材を1年間、野におく結果となった指名はプロ球界全体の損失でもあった。ブランクをものともせず、力を維持した菅野の精神力には感服するばかりで、むなしい1年の間に才能が立ち枯れる恐れもないわけではなかった。
しかし、だからといって、アマチュア選手の意向を忖度(そんたく)しないのはけしからん、となると、ドラフト制度の形骸化につながりかねず、これまた問題となる。
今年一番の目玉、清宮幸太郎(早実)を引き当てたのは日本ハムだった。菅野やメジャー志向の強かった大谷翔平(岩手・花巻東)を指名してきた球団は、その年のナンバーワン選手の獲得を目指す、という姿勢を通してきた。
「当たり」はもちろん偶然の産物。だが毎年リスクを負って賭け続けてきたからこその当たり、ともいえた。
◎「強行指名」も結局どうする?
「球団側による『強行指名』も、要注意の表現といえる」と言うものの、これもどう「注意」すべきかは教えてくれない。篠山編集委員は「日本ハムの菅野智之(当時東海大、現巨人)の指名」を普通に「強行指名」と表現している。このくだりを見ても、どう「注意」したのかは明確ではない。カギカッコを付ければ「注意」になるのだろうか…。
古賀病院21(福岡県久留米市) ※写真と本文は無関係です |
結局、「入団拒否」「強行指名」という表現に関して問題提起をしただけで、答えを出すわけでもなく話は移っていく。
今度は「入団拒否」と「強行指名」について自説を述べるのかと思うと、「入団拒否」は「プロ球界全体の損失」にもなるが、「だからといって、アマチュア選手の意向を忖度(そんたく)しないのはけしからん、となると、ドラフト制度の形骸化につながりかねず、これまた問題となる」という、どっちつかずの話で終わってしまう。
そして最後は日本ハムの指名方針に話が移り「毎年リスクを負って賭け続けてきたからこその当たり、ともいえた」と記事を締めてしまう。
篠山編集委員の事情を推測すると「読者に訴えたいことは特にないけど、コラムの締め切りが迫ってきたから、仕方なく思い付くままに行数を埋めてみました」といったところか。今回のような内容ならば、わざわざ記事にする価値はない。
※今回取り上げた記事「逆風順風~入団拒否と強行指名」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171102&ng=DGKKZO23024450S7A101C1UU8000
※記事の評価はD(問題あり)。篠山正幸編集委員への評価は暫定C(平均的)から暫定Dへ引き下げる。
日経 篠山正幸編集委員「レジェンドと張り合え」の無策
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2016/06/blog-post_10.html
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