鳥栖駅(佐賀県鳥栖市) ※写真と本文は無関係です |
社説の一部を見ていこう。
【日経の社説】
希望の党が衆院選の公約を発表した。消費増税の凍結と原発ゼロを看板政策に掲げたが、新たな財源や代替電力をどうするかは詳しく説明していない。政権交代を目指す以上は、政策実現に向けた具体的な道筋や経済への影響をどう抑えていくのかも有権者にきちんと示す責任がある。
党代表の小池百合子東京都知事は6日に記者会見し「タブーに挑戦する気持ちで思い切った案を公約に盛り込んだ」と強調した。
公約は2019年10月に予定する消費増税について「一般国民に好景気の実感はない。消費税10%への増税は、一度立ち止まって考えるべきだ」と指摘した。
増税の前提として議員定数や報酬の削減、公共事業の見直しに言及。「300兆円もの大企業の内部留保への課税なども検討し、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の改善を図る」とした。
国会や行政の「身を切る改革」は不断に取り組むべき課題だが、一般会計予算の3分の1を占める社会保障費の安定財源にはなり得ない。内部留保課税は企業が法人税を払って蓄積した資本への二重課税になり、経営の自主性や国際競争力を損なう恐れがある。
エネルギー政策は「30年までに原発ゼロを目指す」と明記し、発電に占める再生可能エネルギーの比率を30%まで向上させて省エネを徹底するとした。風力や太陽光は天候に左右される。コスト増による産業や家計への影響をどう抑え、地球温暖化対策といかに両立していくかも難しい課題だ。
◎「詳しく説明していない」としても…
「新たな財源や代替電力をどうするかは詳しく説明していない」とは言えるかもしれない。だが、ある程度は説明している。「増税凍結と原発ゼロだけでは無責任だ」と批判するのは苦しい。
豪雨被害を受けた自動車(福岡県朝倉市) ※写真と本文は無関係です |
日経が総合3面に載せた「希望 公約要旨」を見ると「消費増税の代替財源として、約300兆円もの大企業の内部留保への課税を検討する」と出ている。個人的には内部留保課税に反対だが、「新たな財源」については「ほぼ説明できている」と感じる。
「原発ゼロ」の「代替電力」についても同様だ。日経の社説でも「エネルギー政策は『30年までに原発ゼロを目指す』と明記し、発電に占める再生可能エネルギーの比率を30%まで向上させて省エネを徹底するとした」と書いている。社説では「風力や太陽光は天候に左右される。コスト増による産業や家計への影響をどう抑え、地球温暖化対策といかに両立していくかも難しい課題だ」と続けており、その通りかもしれない。だからと言って、希望の党の公約を「原発ゼロだけでは無責任だ」と批判するのは無理がある。
そもそも現状で発電量の1%程度に過ぎない原子力発電をゼロにするのに「代替電力をどうするか」と考える必要があるのか疑問だ。人口が減少していく日本では電力需要も低下していくはずだ。「新規原発の建設をやめ、40年廃炉原則を徹底し『原発ゼロ』の30年までの実現を目指す」という希望の党の緩い公約に「代替電力」を求めるべきとも思えない。
希望の党への批判は大いにやってほしい。だが、今回の社説のような内容では困る。
※今回取り上げた社説「17衆院選 増税凍結と原発ゼロだけでは無責任だ」
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20171007&ng=DGKKZO22021620W7A001C1EA1000
※社説の評価はD(問題あり)。
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