九州北部豪雨後のJR日田彦山線(福岡県東峰村) ※写真と本文は無関係です |
【ダイヤモンドの記事】
つまるところ、資産形成とは「あなたの残りの人生にお金は幾ら必要なのか」を見定め、必要額を確保するために個人資産の積み上げ方を考える取り組みといえる。
その際、人生の終局に資産がゼロになることをイメージする「逆算の資産準備」(左図参照)という考え方を提唱しているのが、フィデリティ退職・投資教育研究所の野尻哲史所長だ。
この図は30歳で一から資産形成を始めた場合、30代に毎月4万円、40代で同5万円、50代では同6万円を積み立てながら、年率3%で運用した場合の資産の増減をイメージしたものだ。
特徴的なのが、積み立て投資を行った後、60~75歳の間を「使いながら運用する時代」と位置付けていることだ。ここでは、積み立てた資産から定率で毎年4%ずつ引き出しながら、残りの資産をそれまでと同じ年率3%で運用することを想定している。運用効果を発揮することで、資産の減少ペースを和らげられるというわけだ。
また、75歳以降は全て現金に換えて資産を「厳格に使う時代」としており、それから毎月10万円ずつ引き出していった場合、95歳でほぼ資産が尽きる計算となる。
こうしたロードマップを描く際、念頭に置いてほしいのは「長期」「分散」「少額」という三つのキーワードだ。
資産形成に踏み出す人の多くは、まだ資産全体に占める現金の割合が多いだろうが、「少額」でもよいので、持っているお金の一部を運用に回し、それを「長期」の視点で続けるのが肝要となる。
◎必要額が自ずと決まるのでは?
「資産形成とは『あなたの残りの人生にお金は幾ら必要なのか』を見定め、必要額を確保するために個人資産の積み上げ方を考える取り組み」だと述べた上で「人生の終局に資産がゼロになることをイメージする『逆算の資産準備』」の考え方を紹介している。ここまでは分かる。だが、その後にキーワードとして「少額」を打ち出しているのが解せない。
豪雨被害を受けた福岡県朝倉市 ※写真と本文は無関係です |
「資産形成に踏み出す人の多くは、まだ資産全体に占める現金の割合が多いだろうが、『少額』でもよい」と記事では説明する。しかし、お金の「必要額を確保するために個人資産の積み上げ方を考える」のであれば、「少額でもよい」とは言えない。
記事に付けた図では60歳時点で2800万円の資産を築くために「年率3%で運用することを想定」して積立額を決めている。それが「30代に毎月4万円、40代で同5万円、50代では同6万円」だ。取材班が「少額」の基準をどう考えているか分からないが、月6万円を「少額」とは取らない人も多いだろう。
何より、必要な資金や運用利回りの前提が決まってくれば、必要な積立額も自ずと決まる。上記のケースで言えば、「少額」でもいいのだからと最後まで月1万円の積み立てに留めていたら、目標に届く可能性は非常に低い。
※今回取り上げた記事「不透明相場にも負けない 長期のコツコツ積み立て」
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/21287
※記事の評価はE(大いに問題あり)。今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。
「最安の信託報酬」に誤り 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_18.html
週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に2件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_94.html
週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に3件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_86.html
週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に4件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_65.html
比較が恣意的すぎる週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_39.html
テクニカル分析は必要? 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_22.html
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