2017年9月18日月曜日

「最安の信託報酬」に誤り 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」

週刊ダイヤモンド9月23日号の「株&投信 超理解」は読む価値のない特集だった。不正確な説明が目立つし、投資初心者が誤った認識を持ってしまうのではないかと心配になるくだりも多い。ここではまず、記事中の間違いを取り上げたい。以下はダイヤモンド編集部へ送った問い合わせの内容だ。
桜井二見ヶ浦(福岡県糸島市) ※写真と本文は無関係です


【ダイヤモンドへの問い合わせ】

週刊ダイヤモンド編集部 竹田幸平様 竹田孝洋様 中村正毅様 藤田章夫様

9月23日号の特集「株&投信 超理解」に出てくる「つみたてNISA~信託報酬『最安値』&新商品が続々登場 “お墨付き”投信を徹底分析」という記事についてお尋ねします。問題としたいのは以下の記述です。

三井住友アセットマネジメントは、TOPIXと海外株のインデックスファンドに連動した商品として、確定拠出年金(DC)用のファンドをつみたてNISA用にシフト。しかも前者は、信託報酬を0.205%から0.173%に引き下げることで、TOPIX連動型としては最安の信託報酬となる

これを信じれば「つみたてNISAの対象となる投資信託120本」の中の「TOPIX連動型」で「最安の信託報酬となる」のは、三井住友アセットマネジメントの商品のはずです(全ての投信の中で最安という意味かもしれません)。しかし、特集の中の「仮認定されたつみたてNISA対象の投信&ETF120銘柄」という表を見ると、「TOPIX連動型」で「最安の信託報酬」となる投信は「One ETFトピックス」(アセマネOne)の0.084%です。ちなみに「TOPIX連動型上場投資信託」(野村アセマネ)も0.118%で、記事中で「最安」とした「0.173%」を下回っています。

これら2本はETFですが、今回の記事ではETFを含む「つみたてNISAの対象となる投資信託120本」について論じているはずです。記事中にETFを除外して「最安」を判断したとの説明も見当たりません。

信託報酬を0.205%から0.173%に引き下げることで、TOPIX連動型としては最安の信託報酬となる」との説明は誤りと考えてよいのでしょうか。正しいとの判断であれば、その根拠も併せて教えてください。

御誌では、読者からの間違い指摘を無視する対応が目立っています。日本を代表する経済メディアとして責任ある行動を心掛けてください。

◇   ◇   ◇

回答は期待できないので、記事の説明は誤りとの前提で少し付け加えたい。この記事を読んだ投資初心者が「つみたてNISA」でTOPIX連動のパッシブ運用を始める場合、信託報酬が最も低いのは三井住友アセットマネジメントの商品だと判断してしまうだろう。そこが、この記事の罪深さだ。

「『仮認定されたつみたてNISA対象の投信&ETF120銘柄』という表では、ETFの情報も載せている」と取材班は反論するかもしれない。だが、「インデックス投信」の分類の「TOPIX」の項目では、「最安の信託報酬」と紹介された「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスF」が一番上に位置している。

一方、ETFは別のページの下の方に「ETF」として括られている。これで「三井住友・DCつみたてNISA・日本株インデックスF」よりも信託報酬の低いTOPIX連動型がETFにあると見つけ出すのは、特に投資初心者にとっては至難だ。


※今回取り上げた記事「つみたてNISA~信託報酬『最安値』&新商品が続々登場 “お墨付き”投信を徹底分析
http://dw.diamond.ne.jp/articles/-/21281


※記事の評価はE(大いに問題あり)。今回の特集に関しては以下の投稿も参照してほしい。

 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に2件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_94.html

 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に3件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_86.html

 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」に4件目の間違い指摘
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_65.html

なぜ「少額」投資のススメ? 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_21.html

比較が恣意的すぎる週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_39.html

テクニカル分析は必要? 週刊ダイヤモンド「株&投信 超理解」
http://kagehidehiko.blogspot.jp/2017/09/blog-post_22.html

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