豪雨被害を受けた大行司駅(福岡県東峰村) ※写真と本文は無関係です |
【日経の記事】
エーザイの取り組みでは、実験室内で候補物質を細胞と反応させ、細胞の画像から望ましい変化をしたものをAIが数時間で選ぶ。従来の研究者が目視で探していた方法よりも効率は数十倍以上に高まる見込み。AIの導入で有望な候補を漏れなく見つけ出せる。
◎分からないことが多すぎる
まず「数時間」「数十倍以上」という情報が漠然としている。取材先が「数時間」と言った場合でも「2~3時間という理解でいいですか?」ぐらいのことは聞いてほしい。そういう擦り合わせをきちんとすれば、「数時間」「数十倍以上」という表現が続く可能性はかなり低くなるはずだ。
さらに問題なのが、AIはどの程度の量の画像から「望ましい変化をしたもの」を選ぶのか不明という点だ。「数時間で選ぶ」としても、その対象が1000万枚と1000枚では全く話が違ってくる。
「従来の研究者が目視で探していた方法よりも効率は数十倍以上に高まる見込み」という説明も、「従来」は人手をどのくらいかけていたのを示さなければ何とも言えない。「1人の研究者が10日(1日8時間)かけていた作業をAIは3時間でできる」という程度ならば大した話ではない。これが「1000人の研究者を投入しても10日かかっていた作業をAIは3時間で終える」となってくると、かなり画期的だ。
人数に言及がないので、「1人の研究者」と比べた場合に「効率は数十倍以上」と理解するのが自然だろう。だとすると「開発費膨張に歯止め」をかける効果は限定的だ。だからなのか、どの程度の費用削減効果があるのかも記事には書いていない。
今回の記事に関しては、書き方にももちろん問題があるが、詰めた取材ができていない印象を強く受けた。
※今回取り上げた記事「新薬候補、数時間で選出~エーザイ、AIを活用 開発費膨張に歯止め」
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170815&ng=DGKKZO19985430U7A810C1TJ2000
※記事の評価はD(問題あり)。
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