2017年3月9日木曜日

日経「はるやまHDが代謝促すスーツ」に漂う怪しさ

9日の日本経済新聞朝刊企業・消費面に気になるベタ記事があった。「はるやまHDが代謝促すスーツ」というその記事では「痩せる効果が期待できるスーツ」を取り上げている。インチキだと言える材料はないが、「こんな商品を記事で紹介していいのかな?」とは感じた。
阿蘇山(熊本県阿蘇市) ※写真と本文は無関係です

記事の全文は以下の通り。

【日経の記事】

紳士服大手のはるやまホールディングスは着るだけで痩せる効果が期待できるスーツを9日に発売する。裏地に人の細胞の動きを活発にする成分を加工し、消費カロリーが増えることで体脂肪を落ちやすくするという。肥満を気にするビジネスパーソンらを対象に年3万着の販売をめざす。

商品名は「スラテクノ」。裏地に還元水の一種である還元イオン加工水を付着させることで細胞の電子が動きやすくなり、消費カロリーを増やすことが期待できるという。大阪府立大学の名誉教授で医学博士の清水教永氏の実験でその効果を確認した。

◇   ◇   ◇

着るだけで痩せる効果が期待できるスーツ」と書いてあると、反射的に怪しさを感じてしまう。「大阪府立大学の名誉教授で医学博士の清水教永氏の実験でその効果を確認した」らしいので、一定の根拠はあるのだろう。だが、それでも怪しさは消えない。

まず「スーツ」の仕組みがやや不可解だ。「裏地に還元水の一種である還元イオン加工水を付着させる」と言うが、「」を「裏地」に付着させるというのが分からない。ずっとその「」が裏地に付着し続ける仕組みなのか。蒸発しないのだろうか。

還元イオン加工水を付着させる」となぜ「細胞の電子が動きやすく」なるのかも説明はない。素人考えでは、スーツの裏地に特殊な水を付着させても消費カロリーが増えそうな感じはしない。このスーツが本物の「着るだけで痩せる効果が期待できるスーツ」ならば、その辺りはきちんと説明してほしい。

効果」についてデータがないのも怪しさを感じさせる要因の1つだ。「消費カロリーが増えることで体脂肪を落ちやすくする」「消費カロリーを増やすことが期待できる」と言われても、それがごくわずかならば大して意味はない。

ついでに言うと、価格への言及がないのは困る。最低でも、通常のスーツとどの程度の価格差になるのかは欲しい。

※今回取り上げた記事「はるやまHDが代謝促すスーツ」
http://www.nikkei.com/paper/article/?b=20170309&ng=DGKKZO13844170Y7A300C1TI5000

※記事の評価はD(問題あり)。最初から紙面化しないのがベストだろう。使うのならば、具体的なデータを盛り込むなどして「怪しさ」をもっと取り除くべきだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿