2016年9月5日月曜日

経済誌に見切り? 東洋経済「みんなペットに悩んでる」

最近の週刊東洋経済は何かおかしい。9月10日号の特集のタイトルは「みんなペットに悩んでる」。しかも50ページにもわたる大型特集だ。Part1「医療の悩み」、Part2「老いの不安」、Part3「飼い主の倫理」という構成からも分かるように、ペット市場やペットビジネスを論じたものではない。犬や猫を飼う人に役立ててもらうための特集だ。「高度医療だけが医療じゃない 病から守るためにすべきこと」「いつかは来る別れ ペットロスは怖くない」といった飼い主向けの記事がこれでもかと並ぶ。

金鱗湖(大分県由布市) ※写真と本文は無関係です
東洋経済は経済誌のはずだ。だが、こんな特集をメインに据えた雑誌作りをするのならば、もはや経済誌とは言えない。「落語特集」など脱線企画に傾斜しつつある週刊ダイヤモンドの影響もあるのだろうか。「生き残っていくためには経済関連の特集だけではやっていけない」というのなら止めない。ただ、「東洋経済はもはや経済誌ではない」と読者にはっきり説明すべきだ。

しかも特集の内容には最初から問題を感じた。東洋経済オンラインを通じて送った問い合わせの内容を紹介したい。東洋経済の体質を考慮すると、回答はないだろう。

【東洋経済への問い合わせ】

週刊東洋経済9月10日号の特集「みんなペットに悩んでる」についてお尋ねします。特集の冒頭に「親、兄弟・姉妹、配偶者、子ども。今、ペットはこうした血縁者に次ぐ『第5の家族』と呼ばれる」との記述があります。本当に現代の日本でペットは「第5の家族」と呼ばれているのでしょうか。

そう呼んでいる人が1人もいないとは言いません。しかし、上記の説明が成立するためには、ペットを「第5の家族」と呼ぶ人がかなりの人数に達している必要があります。なのにインターネットで「第5の家族」を検索してみても、それらしき使用例を見つけ出すのは困難です。「ペット=第5の家族」との認識が日本国内に十分に広がっているのならば、こうはならないと思えます。

また「第5の家族」と言う場合、第1から第4までを占めるのが「親、兄弟・姉妹、配偶者、子ども」なのでしょう。ここにはなぜか「祖父母」「孫」が入っていません。ペットが「第5の家族」ならば、同居している祖父母や孫は「第6の家族」「第7の家族」となるのでしょうか。この点からも「ペット=第5の家族」との認識が広がる可能性は低そうです。

ペットを「第5の家族」と呼ぶ人は日本にはほとんどいないと考えてよいのでしょうか。「かなりの日本人がそう呼んでいる」という判断であれば、そう言える根拠を教えてください。

また、記事では「配偶者」を「血縁者」に含めています。これは誤りです。「血縁者」とは「血のつながっている者」という意味です。養子を血縁者と見なす場合もありますが、配偶者は基本的に「血縁者」ではありません。

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この特集は犬や猫を飼っている人が読めば高く評価してくれる内容なのかもしれない。だとしても、雑誌の性格は考慮してほしい。例えばスポーツ雑誌「Number」で大々的にペット特集を組んだら、長年の愛読者は許してくれるだろうか。音楽雑誌でのペット特集ならば、どうだろうか。

東洋経済とはどういう雑誌なのか、編集部でもう一度よく考えてほしい。それでもまた今回のような特集で勝負するのならば、その時は「経済誌」としての歴史に終止符を打つべきだ。


※経済誌の特集にふさわしくない上に、問い合わせで指摘した問題もあるので、特集の評価はD(問題あり)とする。ペット愛好家にとって役に立つ記事かどうかといった点は考慮していない。

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